中国 人口増加に備える食料増産目標の達成はジャガイモで

農業情報研究所(WAPIC)

10.6.11

 中国政府は、増大する人口を養うために、塊茎・塊根作物、特にジャガイモとサツマイモの増産に努めている。中国は今後10年で穀物生産を10%増やし、5億5000万トンにするという目標を掲げている 。中国農業科学院のジャガイモ専門家、Xie Kaiyun氏は、ジャガイモとサツマイモの作付と収量を増やすことがこの野心的目標の達成を助けると言っているということだ。

 Potatoes are root of the solution ,China Daily,6.11
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2010-06/11/content_9964299.htm

 穀物生産高の公式数字にはジャガイモも含まれている。ただし、ジャガイモは5トン生産しても、穀物1トンとしてしか計算されない。Xie氏は、中国科学者はコメ、小麦、トウモロコシに注ぐほどの関心を塊茎・塊根作物に向けてこなかったと言う。

 国家統計局によると、2009年の穀物総生産高は5億2871万トンで、そのうちコメ、小麦、トウモロコシが4億7027万トンだった。しかし、国際ポテトセンター北京事務所の科学者でもあるXie氏は、「三大作物の生産増加の余地は限られているように見える。対照的に、塊茎・塊根作物、特にジャガイモにはずっと大きな可能性がある」と言う。

 ジャガイモには他の穀物ほどに水を必要とせず、土壌も比較的選ばないという利点もある。厳しい水不足や耕地縮小に直面している中国にはうってつけだ。

 しかし、中国の三大作物の平均単収は世界平均を大きく上回っているが、中国のジャガイモの平均収はヘクタールあたり15トンで、いくつかの先進国の3分の1でしかない。他方、中国のジャガイモの生産と消費は、人口が多いために世界一だが、一人あたり消費はロシアの3分の1、米国ほ3分の2でしかない。

 政府は2,007年以来、パイロットプログラムへの補助を通じてジャガイモの増産に力を入れてきた。陝西省楡林の収量は、改良品種の利用でヘクタール75トンに達した。Xie氏によると、国平均でヘクタール30トンを達成するのも難しくない。政府は2月、北京で大規模な研究センターを始動させるという国際ポテトセンターとの協定に調印した。このセンターの使命には、速く育ち、中国のすべての地域に適応できる品種の開発も含まれる。

 今年はじめ、国務院も、高収量品種を栽培する農民に補助金を出すと発表した。

 中国は世界人口の5分の1を10分の1の耕地で養うという難題に直面している。人口は2030年までに15億のピークに達すると予想され、このために、食料生産を1億トン増やさねばならない。

 とはいえ、一部専門家は、塊茎・塊根作物の人気に疑問を投げかける。現在の食習慣は、ジャガイモがコメや小麦に代わる中国人の主食にはなり得ないことを示していると言う。 


 やっぱり輸入か、海外農地に頼るしかない?