米国研究者に有機小麦品種開発資金 前近代的品種を使った交雑育種

農業情報研究所(WAPIC)

06.6.12

 ワシントン州立大学の小麦育種研究者が、米国農務省(USDA)から低投入で有機農業に適した小麦品種の開発のための資金を与えられた。資金は国で唯一の認定された有機小麦育種プログラムにおける研究の継続を保証するという。

 この研究者は、過去5年、窒素肥料やその他の資材の利用がなかった1840年代から1950年代に栽培された163の小麦品種を近代的品種と交配してきた。彼は、最終的利用のための品質が優れ、雑草との競争に打ち勝ち、土壌中の窒素やその他の栄養分を効率的に利用し、低投入・有機農法の下で十分な収量をあげる品種の開発を期待しているという。

 彼は、このような小麦の研究は普通の小麦生産者の利益にもなる、「伝統的農民は窒素肥料やその他の資材を購入するのが難しかった。植物の土壌窒素利用の改善は有機生産者だけでなく、普通の生産者のコスト削減にも役立つ」と言う。

 彼は、このプログラムによる最初の有機小麦品種は5年以内に売り出されると期待している。

 Washington State receives grant for organic wheat breeding,worldgrain.com,6.8
 http://www.world-grain.com/feature_stories.asp?ArticleID=79690

 最先端の遺伝子組み換え技術が全盛の米国にこのような研究に没頭す研究者がいるのは、ちょっとした驚きだ。成功を祈りたい。