コンゴ 南ア農民に1000万fの土地を99年無償リース

農業情報研究所(WAPIC)

09.5.2

  コンゴ共和国が南アフリカ農民に、トウモロコシ、大豆、豆類を栽培し、また養鶏・酪農場を作るための1000万fの土地を99年間無料で貸与する。4月半ばに合意された協定には5年間の法人税免除措置や農業資材税免除も含まれる。進出農民は、利潤のすべてを国外に持ち出すことを許され、生産物を国内で販売する義務もない。およそ1300の何ア農民が進出に関心を抱き、6月には移住すると予想される。

 コンゴは政情不安定のために、最近は99%の食料を輸入に頼る。およそ400万の国民が国の南西部に集中、人々があまり住まない北部の広大な熱帯ジャングル地域が放置されている。

 Free land expected to lure South African farmers,Tradelvest Africa,09.4.17
 http://www.tradeinvestafrica.com/news/999051.htm

 他方、コンゴ農業大臣は今年2月、食料栄養安全保障プログラムを立ち上げた。プロジェクトは、EUからの7800万ドルの資金援助を得て、特に紛争で最も影響を受けたPool地域で貧困と栄養不良の軽減に取り組む。

 南ア農民団体・AgriSAの副会長は、”スイスの面積の2倍以上の面積を対象とするこの協定は、食料安全保障を改善するための努力におけるアフリカ大陸最大の土地協定の一つとなる”と言っているそうである。

 CONGO: Seeking a way out of food insecurity ,IRIN,5.1
 http://www.irinnews.org/Report.aspx?ReportId=84198

 しかし、生産物が国外に持ち去られるのであれば、コンゴ共和国の食料安全保障には役立たない。そのうえ、国の面積(34.2万㎢=3420万f)の3分にも及ぶザイール川右岸北部熱帯ジャングル地域の農地化は、国土保全に壊滅的な打撃(洪水、干ばつ、土壌浸食、水汚染・・・)を与える恐れもある。何のために土地提供なのか。