オーストラリア 干ばつで今年の米収穫は通常の3分の1

農業情報研究所(WAPIC)

05.5.11

 オーストラリアの稲作中心地、ニュー・サウス・ウェールズ州(NSW)の稲作農民が記録的干ばつ泣いている。通常ならば100万トンの米を生産、年に8億ドルを販売、世界60ヵ国に輸出するこの地域は、マレー川とマランビッジ川の水に支えられて稲作を発展させてきた。

 ところが、4月28日付のシドニー・モーニング・ポスト紙(Rice growers winnow another bitter harvest,smh.com,4.28)によると、過去4年間の貯水池への流入量は、100年前に記録が取られ始めて以来最低になっている。マレーの谷の農民は三期目の収穫を行っているが、4月には900の稲作農民が例外的干ばつ援助の対象に選ばれた。マランビッジ川の稲作農民も救済を求めている。

 彼らが所有する精米工場・サンライズの一つは2003年以来閉鎖され、別の工場では人員を1100人から800人に減らした。米生産者協会のローリー・アーサー会長は、今年の州の収穫は通常の3分の1にすぎないだろうと言う。ダムの貯水量は能力の29.6%にまで落ちている。水位が余りに低く、農民は稲が必要とする水のほんの僅かな部分しか受け取っていない。

 米の減収は地域経済にも甚大な影響を及ぼす。サンライズが中心工場と灌漑農業を持つリートン市のポール・メイトン市長は、「今後数ヵ月の間に大量の雨がなければ、巨大な問題が起きる」と言い、4期目の貧しい収穫に市がどう対処するか協議するために、地域のリーダーとの会合を計画している。

 状況は州の多くの市町村でも絶望的という。3月までの3ヵ月の北部・西部NSWの降水量は平年よりもはるかに少ないか、記録上最低となっている。4月には、6ヵ月間について最悪の干ばつの数字が発表された。NSWの面積の76%で干ばつが公式に宣言された。