中国全土の40%で土壌浸食 穀物生産に大きく影響の恐れ

農業情報研究所(WAPIC)

08.11.21

  中国研究チームの3年間の研究で、中国国土のほぼ40%、357万㎢の土地が侵食を受けていることが分かった。侵食は農村地域だけでなく、都市や工場、鉱山近くでも、あらゆる省のあらゆる流域で起きている。161万㎢は水による侵食、196万㎢が風による侵食だ。

 問題は、毎年45億2000万トンの土壌が流亡するほどに厳しい。やはり侵食の激しいインド、日本、米国、その他の国よりも状況は厳しい。

 このペースで侵食が続くと、中国の穀倉地帯の一つである北東部の1400万ムー(93万f)の農地の穀物生産が50年で40%減少する恐れがある。チームの計算では、国は既に、2000年以来、2000億元(294億ドル)の経済的損失を受けている。

 この調査は、1949年以来最大の科学的土壌保全調査という。新華網が20日付で伝えた。

 Soil erosion threatens China,Xinhua.net,11.20
 http://news.xinhuanet.com/english/2008-11/20/content_10389313.htm

  [追補:08.11.22]

 11月22日付のチャイナデーリー紙は、加えて次のような関連事実を指摘している。

 ○国の最貧人口の4分の3が侵食影響地域に住んでいる。

 ○南西部では、今後35年で1億人が土地を失う恐れがある。

 ○侵食のために河川や湖が土で埋まり、洪水氾濫のリスクが増す。1950年から1999年の間に92億トンの土が黄河に入り、川底が4mも上がった。

 ○中国科学院メンバーで、調査チームの一員でもあるSun Honglie氏によると、農業・林業開発、高速道路、鉄道、都市建設が侵食の主要な原因で、全体の78%がこれらに因る。

 ○一番の問題地域は丘陵地域。例えば黄土高原では、作物1kgごとに40-60gの土が失われる。中国には20万㎢の丘陵地があり、全耕作可能面積の17.5%を占める。その大部分は、揚子江上流流域、黄土高原、国の北東部にある。

 Land erosion 'threat to food supply',China Daily,11.22
 http://www.chinadaily.com.cn/china/2008-11/22/content_7230614.htm