農業情報研究所


WWF:養殖漁業が野生鮭減少の大きな要因

農業情報研究所(WAPIC)

02.6.3

 世界自然保護基金(WWF)の調査により、商業的養殖漁業が野生鮭の生息数を大きく減らす原因となっていることが明らかにされた(North Atlantic salmon farming threatens wild salmon,02.5.31)。大西洋の野生鮭の生息数は30年前に比べて67%減っており、養殖漁業の影響が増大しているのではないかと疑われる。

 研究が示すところでは、養殖魚が野生鮭にマイナスの影響を与えている。逃げ出した養殖魚が野生鮭と交雑、野生の遺伝子プールと食物と生息地域を獲得するための競争力を弱める一方、ケージに閉じ込められた鮭が病害虫の拡散に寄与している。

 カナダ・ノルウェー・米国・イギリスの海洋保全専門家は、来週の北大西洋鮭保護機構(NASCO)の会合で、この問題を種の保存が直面する最も重大な問題として取り上げる。WWF等のNGOグループは、義務的遵守・透明な立法・違反者への厳しい罰則を伴う環境的に持続可能なやり方を求める養殖業の行動規範のNASCO諸政府による採択を支持するとともに、野生鮭保護のための「養殖漁業のない区域」の設定などを勧告している。

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