EU:バイオ燃料導入目標を定める新指令を採択

農業情報研究所(WAPIC)

03.5.13

 4月8日、EUの閣僚理事会が農産物・林産物・有機廃棄物に由来するバイオ燃料の2010年までの間の段階的導入目標を定める指令を承認した。この新指令は、今週、欧州議会議長の調印によって最終的に成立する。EU各国は、この指令を来年12月31日までに国内法化しなければならない。

 欧州委員会によれば、この指令は、石油・ジーゼル代替燃料を求めるEUの動きを前進させるもので、一層持続可能な輸送システムに向けての前進を可能にする。それは、ヨーロッパの農民と産業によって生産することができるから、エネルギー供給の安全保障も改善する。さらに、バイオ燃料の利用は、京都議定書で合意されたEUの温室効果ガス排出の削減も助けることができるという。輸送におけるバイオ燃料の利用による二酸化炭素排出は、燃料化される前の植物生長の間の二酸化炭素吸収により相殺されるからでる。

 この指令により、各国はバイオ燃料の市場シェアの目標の設定を義務付けられる。指令は、2005年12月までに2%、2010年までに5.75%の基準目標を掲げている。これよりも低い目標を設定する国は、客観的基準に基づき、それを正当化しなければならない。各国は、2005年12月までに達成すべき目標を2004年7月までに発表せねばならない。欧州委員会は、2006年末までに、指令の実施状況を評価し、さらなる立法が必要かどうか決定する。

 バイオ燃料の生産コストは、現在、石油やジーゼルに比べて非常に高いから、欧州委員会は、個人や企業の購入を促すために、各国がバイオ燃料に低率の燃料税を課す権限を強めるべきことも提案している。この提案は、各国政府の原則的合意に達しており、夏までに採択が予定されている。

 なお、域外へのエネルギー依存を減らし、二酸化炭素排出を削減するためのバイオ燃料の利用は、2000年の欧州委員会緑書・「エネルギー供給安全保障のための欧州戦略に向けて」で設定された主要目標の一つをなす。

 European Commission:Security of energy supply: Loyola de Palacio welcomes the formal adoption of the biofuels directive(5.12)
 European Commission:Green Paper : Towards a European strategy for the security of energy supply