英国の鳥インフルエンザウィルス、ハンガリーのウィルスと同じと最終確認

農業情報研究所(WAPIC)

07.2.14

 英国環境食料農村省(DEFRA)が13日、サフォークの七面鳥農場とハンガリーにおけるH5N1鳥インフルエンザウィルスの分析が完了したと発表した。獣医試験局(VLA)の分析で、両方のウィルスが全ゲノムのレベルで99.96%まで同じであることが分かった、この結果はウィルスが基本的には同じものであることを示すという。

 Final confirmation of avian flu virus strain,DEFRA,07.2.23
 http://www.defra.gov.uk/news/latest/2007/animal-0213.htm

 VLAのイアン・ブラウン鳥ウィルス学主任は、他のヨーロッパのウィルスもこれらウィルスの近い関係を示しているとはいえ、これら二つのウィルスの遺伝的類似のレベルは他のヨーロッパのウィルスと比べられないほどに高いと言う。

 これは、家禽から家禽への伝達が最もありそうな今回の発生源ではないかという現在進行中の調査の作業仮説を補強する。しかし、フレッド・ランデグ獣医副主任は、これにより他の感染源の調査がおろそかになるわけではないと強調している。

 個々の勃発における伝播経路はもちろん様々であり得る(例えば、UK bird flu outbreak - who dunnit?,NewScientist.com,2.12)。しかし、今後の伝播防止においては貿易に一層多くの注意が払われねばならないことは確かであろう。

 国連のトリ・ヒトインフルエンザ問題コーディネーターのデビッド・ナバロ氏が、渡り鳥により昨シーズン伝播した鳥インフルエンザが、生きた鳥の貿易によりますます広がっていると語ったという情報もある。昨年末以来、インドネシア、ベトナム、韓国、タイ、中国、日本、エジプト、ナイジェリア、ハンガリー、英国でH5N1鳥インフルエンザ勃発が確認されているが、今シーズンの鳥インフルエンザの波は、大部分は家禽の貿易を通して広がったと言う。

 Poultry trade spreads bird flu: U.N.,Rueters via Yahoo!News,2.10

 これは、家禽だけでなく、インドネシア、エジプト、ナイジェリアではヒトの死ももたらしている。通常は鳥から人間に感染することはないと強調されるが、そのために貿易 を通しての感染拡大への警戒を怠るようなことがあってはならないだろう。とりわけもともとヒトに病気をもたらすことはないとされていたH5(N1)ウィルスは、鳥ウィルスのままでも1997年の香港に始まり、多くの人々 の悲惨な死をもたらしてきた稀有な性質のH5ウィルスであることを忘れてなならない。