インド 新型インフルエンザ死者が急増 臨床専門家はウィルスの遺伝的変異を示唆

農業情報研究所(WAPIC)

09.9.16

 インドの新型インフルエンザ死者が急増している。15日現在、総計201人に達した。

 India's swine flu toll goes up to 201,Headline India,9.16
 http://www.headlinesindia.com/health-and-science-news/swine-flu/indias-swine-flu-toll-goes-up-to-201-22538.html

 インドで新型インフルエンザの”輸入”が確認されたのは今年5月16日だった。それから約3ヵ月後の8月14日までに確認された感染者は1390人、死者は21人だった。ところが、それから1ヵ月後の9月14日には、感染者は6539人、死者は189人に急増した。気になるのは、8月20日以降、感染者数の増加ペースを上回る勢いで、死者数が増加していることである(下図参照)。明らかに、それ以前と異なるパターンになっている。どこに原因があるのだろうか。


Ministry of Health and Family Welfare:http://mohfw.nic.in/press_releases_on_swine_flu.htmによる。

 折りしも、ヒンドゥ紙が15日、気がかりな記事を掲載した。首都の臨床専門家が、地方の既存のウィルスと接触したのちH1N1ウィルスの遺伝子構造が変化、今や一層”強力”(potent)なものになっていると示唆したというのである。

 H1N1 gets more virulent,Hindu,9.15
 http://www.hindu.com/2009/09/15/stories/2009091557570100.htm

 H1N1ウィルスは5月から8月の間に”輸入”されたが、患者に厳しい病気は引き起こさなかった。しかし、ガンジー病院のAshok Kumar氏によると、今では「患者は感染後24時間から48時間で死んでしまう。ウィルスは、医者が患者を治療するいかなるチャンスも与えない」。チェスト病院のS.V. Prasad氏は、「ウィルスの遺伝子構造に決定的シフトが起きている。地方のインフルエンザウィルスと接触したのち、遺伝的に変異した可能性がある」と言っているそうである。

 ウィルスの遺伝的変異は専門家が確認するほかないが、上のグラフはその可能性の高さを示唆しているように見える。