農業情報研究所環境原子力ニュース:2011年5月17日

干ばつのフランス 原発停止でブラックアウトの恐れ

 フランスを襲っている50年来とも言われる記録的干ばつで、河川沿いに立地するフランスの多くの原発が機能停止の危機に追い込まれている。

 原発の操業は水に関するいくつかの基準を満たさねばならないが、干ばつがそれを難しくしている。原発は停止しても冷やし続けなければ重大事故につながるが、そのための冷却水さえ欠く恐れがあるという。

 まず、冷却水はケース・バイ・ケースで定められた最小限の河川流量を維持できなくなるまで取水してはならない。干ばつで流量が減れば、原発の取水可能量は減ることなる。59の原子炉のうち、すでに22の原子炉が冷却水を得られなくなる恐れがあるという。

 第二に、廃水(温排水)の温度が一定の限度を超えるときには、出力を落とすか、停止するかしなければならない。 しかし、取水温度自体が既にこの限度近くまで上がっている。20の原子炉がこの基準を満たせない恐れが出ている。

 第三に、廃水放射性物質の十分な希釈を確保するために、河川流量が一定量に満たない場合、流量が回復するまで廃水を貯水池にためておかねばならない。しかし、長引く干ばつでこれが満杯になれば、原子炉は停止せ ざるを得なくなる。

 こうして停止した原子炉を冷やすために必要な最低限の水さえ足りず、重大事故につながる恐れがあるという指摘も出ている。

 La sécheresse menace le bon fonctionnement des centrales nucléaires,Le Monde,5.16
 http://ecologie.blog.lemonde.fr/2011/05/16/la-secheresse-menace-le-bon-fonctionnement-des-centrales-nucleaires/ 

 気候変動―干ばつ―を抑えるはずの原発が、気候変動に存続を脅かされている。原子力エネルギーは、まさに持続不能なエネルギーである。

 関連:フランス 猛暑と干ばつで原発操業停止の恐れ 温暖化が原発利用能力を減らす(05.7.12);猛暑のフランス 政府が基準水温を上回る原発冷却水排水を容認(06.7.24)