米国とEUが最新のWTO農産物関税削減案を断念ーインド紙の報道

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.13

 インド紙の報道によると、WTO交渉の行き詰まりを打開すべく米国とEUが提案した農産物関税削減案(→米国・EU、WTO農業交渉で(新)提案 行き詰まり打開は不透明 世界の農民には有害無益,05.10.11)をインドが拒否、EUと米国に提案を断念させた。カマル通商大臣の発言として伝えている。

 India rejects US, EU offers for farm tariff reduction,The Financial Express,10.13
 http://www.financialexpress.com/fe_full_story.php?content_id=105374

 米国-オーストラリアはバンド内での削減率を漸増させる提案をし、EUはバンド内での”ピボット”(バンド内での平均削減率)の関税引き下げ方式を提案したが、同大臣は両方ともに途上国の利益を犠牲にすると反対した。”漸増”方式は昨年7月の枠組で既に拒絶している。米国とオーストラリアはこの方式をプッシュしないことに同意した。またEUが示唆する”柔軟性”は、途上国の利害にかかわる品目の市場アクセスを阻害することにつながるし、一部先進国や途上国に法外な削減の負担を課すことになると反対、EUもこの要求を断念することに同意したという。

 これが事実とすれば、米国は国内事情からしても国内助成60%削減案を撤回せざるを得ないだろう。市場アクセスでの大戦果がその前提条件だからだ。これではもとのもくあみだ。