米国FDA クローン動物の子の肉やミルクの承認が近い?既に食品市場に出回るーワシントン・ポスト

農業情報研究所(WAPIC)

05.10.6

 ワシントン・ポスト紙によると、米国食品医薬局(FDA)が、間もなくクローン動物の子の肉やミルクが安全と裁定すると予想される。企業や生産者が実験中で、FDAの決定を待っており、既に国中の農場で数百のクローン豚・牛・その他の動物が暮らしているという。

 Clone-Generated Milk, Meat May Be Approved,The Washington Post,10.6
 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2005/10/05/AR2005100502074.html

 記事によると、農産業はクローン動物の製品利用に関するFDAの一時的な自主的停止措置を守っているけれども、少数のクローン豚・牛が既に食品市場に少しずつ漏れ出していることが最近明らかになった。多くの農業関係者は、このような遺伝的コピーが国の家畜改良の次のステップになるのが当然と考えている。しかし、消費者の反発は強く、今年初めの国際食品情報カウンシルの調査では、63%の消費者が、仮にFDAがクローン動物の肉、ミルク、卵は安全と宣言したとしても、そんなものは買わうと思わないと答えているという。

 FDAは3年前から政策決定を約束しているけれども最終バージョンはまだ出ず、クローニングにかかわる一部企業は財布が底をついている。FDAのサンドロフ獣医薬主任は、書面での質問に、政策発表がいつになるか確かな答えはできないと答えてきた。しかし、発表に向けての準備が進んでいる兆しがある。9月23日に突然辞任したクロフォードFDA前コミッショナーは、FDAが結論の概要を示す公式科学ぺーパーを起草していると語った。この問題にかかわるFDAの科学者・ジョン・マテソン氏は、今年初めの記者会見で、政策はブッシュ政府のハイレベルで検討中と語っている。

 1997年 のドーリー誕生のニュースには米国の農民や牧畜業者の誰もがショックを受けたが、今までに何千もの農家が農業祭でクローン動物を見て好感を抱くようになっている。農業祭のコンテストに出る優秀な豚や牛の生産者も、何よりもクローニングに惹きつけられる。企業は、何年も前から、ショーに出す動物の生産者に繁殖用クローン動物を販売してきた。

 展示用の豚の育成に熱心なPrairie State Semen Inc.のジョン・フィッシャー会長は豚の精子を売る。4-Hクラブなどのメンバーが小瓶一瓶を50ドルから150ドルで注文、チャンピオン豚を育成しようと地方の豚に授精している。彼のビジネスは1997年、ハンプシャーの最優秀繁殖雄豚を4万3000ドルで手に入れたところから始まった。この雄豚は2001年に突然死したが、耳を切り取り、ウィスコンシンのクローニング会社に送った。これは6頭のクローン豚と他のクローン動物になって帰ってきた。今やオースチンのViaGen Incからの注文の大量のクローン動物を持つ。彼やその他の生産者は、巡回ショーのために豚や牛を育成する学生にクローン動物の精子を売る。ショーが終わると、これらの動物は食肉加工のためにと畜場に送られるのが通例だという。

 こんな商売が方々で横行しているらしい。サンドロフ氏は、クローン動物の子が食品市場に入るという噂は聞いているが、証拠はないと言っている。しかし、フィッシャー氏は、農場のクローン動物の数は今は少ないが、FDAがドアを開けば生産者はたちまちこの技術にとりつかれる、「その18ヵ月から20ヵ月後には、大量のクローン動物が育てられるようになる」と予想する。

 ただし、一グループ・国際酪農食品協会は、海外市場が米国製品を拒否する恐れから、懐疑の声を上げているという。また、ワシントンのアメリカ食料品製造者協会は、我々は科学は支持するが、我々のビジネスは公衆に食品を販売することで、公衆が食べようと思わなければ、そんなことは起きないと言っている。