欧州特許庁 モンサントのGM大豆技術特許を取り消し 今後のGM特許承認にも影響

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.7

 欧州特許庁(EPO)が53日、モンサント社が所有する遺伝子組み換え(GM)大豆特許を取り消した。EPO13年前(19943月)にこの技術の特許を承認したが、この発明には“新規性”がないというシンジェンタ社とカナダの環境団体・ETCの訴えを受け入れた。

 EPO Press release:Soybean patent revoked in appeal proceedings ,07,5.3

 この決定について伝えるネイチャー・ニュースは、この技術は導入される特定の遺伝子に言及することなくあらゆる種類のGM大豆の作出の方法を述べるもので、その特許承認は、モンサント社が世界のGM大豆市場で支配的地位を築くのに貢献した、従って、シンジェンタをはじめとする多くのバイテク種子企業は、この特許が、事実上、モンサントに対してすべてのGM大豆の支配権を与えるものと提訴、この特許取り消しを求めて13年間戦ってきたと説明する。

 ただ、そもそもGM大豆に反対するグリーンピースが協力する環境団体がシンジェンタの側につき、他の企業のGM技術への無制限のアクセスを許そうとするのはわけが分からないと訝っている。

 なお、モンサントのスポークスマンは、この特許はいずれせよ2008年で切れるから、この決定がモンサントのビジネスに影響を与えるとは思わないと言っている。

 とはいえ、今後のビジネスには影響が出るかもしれない。EPOのスポークスマンは、この決定は他のGM技術の特許にも影響を与えることは疑いないと言う。彼によると、この決定の法的根拠の詳細の発表までには3ヵ月から6ヵ月かかる。しかし、この特許が承認されたときにはGM技術は今ほど発展しておらず、この分野の特許 は新しかったが、“現在は、これらの特許を与えるか、拒否するかに関するガイドラインは改善されている”、GM植物特許が拒否される場合が過去に比べて増えているという。

 GM patent rejected after 13 years ,news@nature,5.4