GMバクテリアで自然の限界を超える高エネルギーバイオ燃料 米研究者

農業情報研究所(WAPIC)

08.12.20

  カリフォルニア大学の研究者が、しばしば食中毒の原因となるバクテリア(Escherichia coli)の遺伝子を組み換えることで、自然の限界を超えた長鎖アルコールを生産させることに成功した。

 研究者は、この研究は二つの重要な意味を持つと言う。科学的見地からは、アルコール分子を作る自然の能力は拡張でき、人間は自然が創造するものに縛られないことが示されたことだ。エネルギーの見地からすると、一層多くのエネルギーを含む一層長い鎖の分子を作り出したこと、これはガソリンの生産や、ジェット燃料の生産においてさえ重要な意味を持つという。

 研究者によると、今までは5個の炭素原子を含む長鎖アルコールを合成することができたが、5個の炭素を越えるアルコールては決して合成できなかった。ところが、新たなGMバクテリアは最大8個の炭素原子を持つ長鎖アルコールを生産する力を持つ。

 最も一般的なバイオ燃料であるトウモロコシやサトウキビから作られるエタノールは2個の炭素原子を含むだけだ。炭素原子の数が多いほど、バイオ燃料の密度も高まる。5個から8個までの炭素原子を持つ長鎖アルコールは小さなスペースに一層を多くのエネルギーを詰め込んでおり、通常のバイオエタノールよりも水から分離しやすく、揮発性や腐食性は少ない。

 この研究は”Proceedings of the National Academy of Sciences”の12月30日号に発表されるが、現在、オンラインで利用できるそうである。 

 Researchers push nature beyond its limits to create higher-density biofuels,University of California - Los Angeles,12.18
 http://www.eurekalert.org/pub_releases/2008-12/uoc--rpn121808.php


 「人間は自然が創造するものに縛られない」、人類のエネルギー渇望は超えてはならない一線を超えた?