米国FDAが食品中メラミンの新たな健康リスク評価 2.5ppmまでなら安全

農業情報研究所(WAPIC)

08.10.4

 米国食品医薬局(FDA)が10月3日、中国産牛乳・乳製品とそれらを原材料とする多種の食品のメラミン汚染事件を受けて行ったメラミンとその類似化合物の新たな安全性・リスク評価の結果を発表した。

 FDAは07年5月、メラミンやその類似化合物に汚染された飼料を与えられた豚・鶏・魚の肉や卵を食べることに関連した人間の健康リスクの評価を発表した。新たな事態を受けた今回の評価においては、メラミン等を含む乳児用粉ミルクのリスク評価を試みるとともに、07年の評価と同じ0.63mgという メラミンに関する体重1kg当たり・一日耐容摂取量(TDI)を使用、現在利用できる追加科学データを考慮して、それ(乳児用粉ミルク)以外の食品・食品成分に関する新たな評価を行った。

 第一の乳児用粉ミルクについての結論は、”公衆衛生上の懸念を引き起こすこれら製品中のメラミンやその類似品のレベルは、確立できない”というものである。汚染粉ミルクの毒性を増す可能性のある一つ以上のメラミン類似化合物の存在の影響、これら粉ミルクを唯一栄養源として継続的に使うことの結果など、これらの物質の毒性をめぐる科学的知識の欠如のためだという。もちろん、これはメラミンを含む乳児用粉ミルクが無害であるという意味ではない。

 その他の食品・食品成分については、メラミンとシアヌル酸への複合暴露で毒性が増すという最近の研究結果を受け、07年の0.63mgという メラミンのTDIに10倍の安全係数をかけ、一人一日の体重1kg当たり摂取量が0.063mgまでであれば健康影響はないと評価した。

 一人一日当たり3kgの食事の半分がメラミンと類似化合物に汚染されているという最悪のケースを考えると、メラミンとその類似化合物のレベルが2.5ppm(2.5mg/kg)で一人一日の体重1kg当たり摂取量がちょうど0.063mgとなる。従って、汚染レベルがこのレベルを超えなければ、健康影響はないと考えられるということだ。

 汚染レベルが2.5ppmとした場合、米国人の牛乳由来食品成分摂取状況からすると、一人一日の体重1kg当たりのメラミン等摂取量はTDI/10(0.063mg)の1.1%にとどまるという計算も示されている。

 FDA:Interim Safety and Risk Assessment of Melamine and its Analogues in Food for Humans,08.10.3
  http://www.cfsan.fda.gov/~dms/melamra3.html

  ところで、わが国でこれまでにメラミン汚染が確認された食品の汚染レベルは、

 丸大食品の加工食品で08〜37mg/kg(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/dl/h0926-5a.pdf)、

 兼松のエッグタルトで1.4mg/kg(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/10/dl/h1001-3a.pdf)、

 エヌエス・インターナショナルのチョコピローズで54mg/kg(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/10/dl/h1003-6a.pdf)ということである。

  もちろん、これら食品が一日の食事の半分を占めるといったことはないだろうか、2.5mg/kgの15倍(37mg/kg)や22倍(54mg/kg)の汚染となると、全然気にしないわけにはいきそうにない。

 [丸大食品の加工食品について厚生労働省は、「米国食品医薬品庁(FDA)の暫定リスク評価によるTDIは0.63mg/kgbw/dayであり、体重60kgの人が1日当たり許容できるメラミンの摂取量は0.63×60=37.8mg(EFSAの暫定的リスク評価によるTDI(0.5mg/kgbw/day)では30mg)である。このため、今般、大阪府立公衆衛生研究所が確認した最も高い検出濃度(クリームパンダ(1個40g):37.0mg/kg)から試算した場合、毎日1kg(25個)(EFSAのTDIでは0.8kg(20個))摂取した場合でもTDIを超えません。」と発表したけれども、0.63×60=37.8mgは0.063×60=3.78mgに、毎日1kg(25個)は毎日100g(2.5個)に変える必要がある。体重20kgの子供なら、毎日1個 =一週間に6個より少なくなければならない]