農業情報研究所農業バイテク>ニュース:10年9月6日

米国食品医薬局(FDA) 遺伝子組み換え(GM)サーモンは食べても安全

9月4日の「今日の話題」から転載

   米国FDAが9月3日、AquaBounty Technologies社が商品化の承認を求めているGMサーモンは食べても安全とする分析をウエブサイトで公表した。このサーモンは、マスノスケ(いわゆるキングサーモン)の成長ホルモンにocean pout というウナギに似た海の魚のプロモーターと結合させ、これを魚体に戻すことで生長を速められたものである。通常は夏(暑いとき)にだけ働くマスノスケの成長ホルモンが、このプロモーターのお陰で年中働くようになる。普通、30ヵ月で出荷サイズに達するが、このサーモンは16〜18ヵ月で出荷できるという。

 反対グループは、これが逃げ出して天然のサケと交雑することを最も恐れているが、AquaBounty Technologiesは、このサケは内陸でのみ養殖され、販売されるのは不妊化されたメスだけなので、その恐れはないと言う。ただ、民間の食品安全センターは、安全性、あるいはアレルギー反応を引き起こす可能性の研究に使われた魚の数があまりに少ないと言っている。また、プロセスが不完全なために、最大5%の魚が不妊化されない恐れがあることを示唆する情報もある言う。

 ともあれ、FDAの獣医薬品諮問委員会は9月19-20日に承認の是非について議論する。その後のパブリックミーティングで、このサケに由来する食品の表示をすべきかどうか、表示をするとすればどう表示するか議論する。FDAは、その後数週間を経て最終決定を行う。企業は、この魚 がスーパーに出回るのは、承認されてから2〜3年後のことと言う。

 Briefing Packet for AquAdvantage Salmon Veterinary Medicine Advisory Committee ,FDA
 http://www.fda.gov/downloads/AdvisoryCommittees/CommitteesMeetingMaterials/VeterinaryMedicineAdvisoryCommittee/UCM224762.pdf
 Modified Salmon Is Safe, F.D.A. Says,The New York Times,9.4
 http://www.nytimes.com/2010/09/04/health/policy/04salmon.html?ref=health

  安全であっても食べたいとは思わない。どうして、こうまでして食べたいのか。安全ならばなんでも、いくらでも食べる。人類、いつから、どうしてこうあさましくなったのだろうか。