台湾総統選の結果を受けて

 今月二十二日の台湾総統選は馬英九国民党候補が勝利し、八年振りに国民党が政権を奪還することとなつた。立法院選と共に、国民党圧勝の現実を我々も受け入れざるを得ないが、今回の選挙の焦点は必ずしも「独立」対「統一」の単純な構図ではなかつた。浮動票層の多くが「経済」を優先した結果であらうし、陳水扁前政権の汚職問題などに対する失望も大きな敗因の一つである。李登輝氏の「独立派は口先だけの人が多すぎる」との箴言を、台独派は真摯に受け止めるべきだらう。
 馬英九は選挙中、台湾人意識を強調し、チベット問題に対しては、「五輪ボイコットもあり得る」と大陸に抗する姿勢を見せ、又、彼が親米であることも、楽観視された要因の一つであつたと思はれる。しかし、国民党馬英九の本質は中華ナショナリズムであり、支那の意嚮を汲む新総統である。
 馬英九が一昨年と昨年の二回に渡り来日した際、中共政府は日本の外務省に一切クレームを遣さなかつたが、民進党の謝氏来日に当つては「政府要人や政党幹部に会はせるな」との干渉があつた。この点からも国民党は支那と水面下で通じてゐることが分かる。
 陳水扁総統が米国から武器・装備の購入を進めようとした際、国民党はこれに反対し予算が組めない状態にさせた。台湾が軍事よりも経済を優先させ、大陸との密接な関係を望むのは、まさに支那の思惑通りである。
 馬英九は「独立しない」「統一しない」「武力行使をしない」の三つのノー政策を掲げ、両岸関係の現状維持をアピールしてゐる。米国も台湾の国民投票に反対し現状維持を求める立場から馬英九を支援した。しかし、馬英九が掲げる対支関係改善策としての「和平協商協定」の締結、「共同市場」構想、開放政策は、支那への依存体質を増幅させ、その強大に呑込まれ、台湾が支那化する恐れがある。統一への大きな布石となるであらう。
 馬英九は現状維持ではなく、統一への現状打破を目指してゐると見るべきだ。台湾国民は常に国民党の言動に目を光らせ、彼等の真の目的を見抜かなければならない。
 日本に対してはどうか。馬英九は自身の反日を否定してゐるが、「尖閣列島は日本の領土とは認められない」と明言してをり、「尖閣諸島の帰属問題を利用して、中国と共闘して反日煽動を始めるだらう」と指摘する識者もゐる。日本もこの新総統の言動には細心の注意を払はなければならない。そして日本政府が台湾を認めず、支那の言ひなりとなつてゐる状況を打破するための努力を、今後も我々は続けて行かなければならない。台湾問題は日本の命運に拘る重大問題である。(福永)

「道の友」六八九号巻頭文


大東会館機関誌「道の友」

大東会館維持会員(年会費15,000円)になられた方に「道の友」を毎月お送りしてゐます。


トップページへ戻る