給食の献立から栄養について考える指導について


対象 小学校4学年    教科【学級活動】
   TOSS お江戸87の会  細井 俊久

1.実践のポイント

 本実践のねらいは、子供がいつも食べている給食には、主食、主菜、副菜などがあること、また、給食の献立は、栄養のバランスを考えて作られていることを教えることである。普段何気なく食べている給食を栄養という観点から考えることにより、好きなものだけを食べたり、嫌いなものを残したりしない意識を持たせること。また、栄養をバランスよく取ることの大切さに気がつかせたいと考えた。

2.授業プラン
 ○給食の献立について学習する。・・・・1時間
 ○給食の献立のレシピ案を作る。・・・・1時間
※本実践報告では、指導時間の関係で最初の1時間のみの報告とする。

3.授業の実際
 文部科学省発行 「食生活を考えよう」の8,9ページをB4版に印刷した資料を配布し、名前を書かせる。

指示1
ここにある献立の中から、自分が食べてみたい料理を選び、○をつけましょう。


この後、子供からは、いくつ○をつけてもよいのか質問があった。食べられるならいくつでもよいことを伝えた。ほとんどの子供が印を付けたのを見計らって次の指示を出した。

指示2
どうしてその料理を選びましたか。理由をプリントの下に書きます。


なぜ、その料理を選んだのか、理由を書かせた。理由が書けたか。挙手確認をした後、数人に発表させた。5から7品目を選んだ子がほとんどで、理由は、好きだからと答えた児童が14名、おいしそうだからと答えた児童が8名、栄養を考えてという児童が6名、普段食べられないからと答えた児童が1名という結果であった。

 次に、文部科学省発行 「食生活を考えよう」の10,11ページをB4版に印刷した資料を配布した。そして、次のように説明した。

給食の献立は、大きく5つに分けられます。主食、主菜、副菜、その他、牛乳です。

そして、資料をもとにして、次のような発問をした。

発問1
主食とは、どんなものだと資料に書いてありますか。


渡した資料に説明が書かれてあるので、容易に見つけることが出来る。挙手した児童に発表させ、どこに書いてあるか確認をした。同じように、主菜、副菜とは、どんなものであるかを発問し、確認していった。また、牛乳は、カルシウムが多く含まれていること、その他は、ビタミンが多く含まれる食品やカルシウムが多く含まれる食品になることを押さえた。

板書
主食・・・ごはん、パン、めんなどの炭水化物(エネルギーのもと)
主菜・・・魚、肉、たまご、大豆などのたんぱく質(体をつくる)
副菜・・・野菜を中心としたビタミン、カロチンなど(体の調子を整える)
牛乳・・・カルシウム(骨を作る、じょうぶにする)


 これらの言葉や栄養を押さえた後、この日の給食の献立について確かめた。

発問2
今日の給食の献立は何でしたか。

板書
  ・牛乳
  ・わかめごはん
  ・いものこ汁
  ・豚のショウガ焼き
  ・みかん


さらに次の発問をした。

発問3
主食は何ですか。また、主菜、副菜、その他は何ですか。


指名し、答えさせ、板書したことに線を引いた。

板書
・牛乳 ----------------牛乳
・わかめごはん ---------主食
・いものこ汁 -----------副菜
・豚のショウガ焼き ------主菜
・みかん --------------その他


今日の献立が、栄養を考えた、バランスのよいものであることをここで確認した。

指示3
最初に選んだ料理の中には、主食、主菜、副菜になるものが含まれていますか。プリントを参考に確かめましょう。 


資料12,13ページから考えさせた。けっこう、3つのものがまんべんなく含まれた料理を選んでいた。そして、さらに、次の指示を出した。

指示4
栄養のバランスを考えた理想の給食を作ります。プリントに自分の理想の給食を言葉でも、絵でも、好きな方法でかきましょう。


それぞれ、思い思いに自分で料理を選択し、献立を作っていった。数人に発表させたが、きゅうりの酢の物やひじき煮、ほうれんそうのおひたしを選んだ子が多く、栄養についてかなり気を遣っている様子が分かった。なぜなら、授業の最初に選ばせたときは、カレーやハンバーグ、コーンスープ等を選んだ子が多かったからである。
 そして、最後に

指示5
今日の授業の感想を書きましょう。


といって、紙に書かせた。その後、献立は、栄養を考えて作られていること、また、どれかひとつでも不足するとバランスのとれた食事は出来ないことを話し、好き嫌いなく食事を取ることの大切さを話して授業を終わりにした。


4.児童の感想
 「いっぱい選んだけど、好きなものではなく、主食と主菜と副菜とその他はフルーツとか、カルシウムを取らなくてはいけないというのが今日の勉強になりました。好き嫌いはいけないことも分かった。」(男子)

 「いつも給食は、みんなが好きなのを入れてくれてるのかと思っていました。でも、給食を作る人たちは、いろいろ考えながら作ってくれているんだなあと思いました。これからは、嫌いなものがあっても一口は食べようと思います。家でもちゃんと主食、主菜、副菜ときちんと食べて、牛乳を飲んで、カルシウムを取って元気にしたいです。」(女子)

「今の時間、給食のことについて調べました。私は、主食、主菜、副菜なんて知りませんでした。でも、この時間で主食はエネルギーのもと、主菜は体を作ること、副菜は体の調子を整えるといったことが分かりました。私は、そんなこと全然知らなかったけど、今の時間で分かりました。今日のこの時間は楽しかったです。」(女子)

5.感想
 今回の実践を通して、子供は、普段の食事をおいしいとか、好き嫌いといった意識でとっていることがほとんどであることがはっきりした。親からは栄養があるから好き嫌いなく食べなさいと言われているのかもしれないが、そんなことは食べるときには忘れているのである。
 が、今回のように、資料を用意し、そして、栄養の具体的な名前やそれが多く含まれる食品を紹介することで、普段の自分の食事の取り方を考えさせたり、給食のバランスのとれた献立に気がつかせることが出来た。こうした教育を行っていくことで、正しい知識を身につけ、望ましい食生活のあり方を子供自ら考えることが出来るようになっていくのである。
 食生活が乱れてきたといわれている今日、このような食の教育をさらに推進し、多くの子供が望ましい食生活の習慣を身につけられるようにしていきたいと考えている。

6.参考資料
 ・文部科学省 食生活学習教材(小学生用)「食生活を考えよう」