6/29 うちに帰って経済関係のニュースを見ていたら驚愕の事実が.日本航空が7億株もの公募増資をするらしいです.実に35%の希薄化に相当し,株価は大幅な下落を余儀無くされることでしょう.企業本体の価値がこのニュース(どこもお金を貸してくれなかったし,社債も引き受けてもらえなかった)により上がるわけもないですから,もとのぼろぼろの本体で株式の希薄化が進行するので,35%分もろに株価が下落してもおかしくない状勢です(というか下落すべきでしょう).JALの株は帰省に使う航空券の半額優待券目的(そもそも年末年始のぼったくり価格対策なんですが)で多少持っておりまして,30%下落したときの損失を計算してみるざっと100万.このくらい損してしまうともう笑うしかなく,気持ち良く飲みにいかせていただきました.
 発表前に逆日歩がついているのにも関わらず大量の信用売りをかました人は誰でしょう.どう見てもインサイダーでしょうが,ここらへんの銘柄だとかなり官僚とか,政治家とかも絡んでいますので,結局摘発はされないんでしょうね.

 しかし経営陣のたちの悪さを感じるのは,
こんな重要な事項を株主総会の二日後に発表したということ.株主総会から遠い時期ならいざしらず,こんな時期に行ったのはどうみてもうるさい株主を騙す意図があったとしか思えません.しかも現経営陣はつい最近,第三者割り当て増資を行うことを否定していたはず.その舌の根も乾かないうちにこんなことをやらかすとは.今年の株主総会でANAと比べてJALの経営陣の持ち株が非常に少ないということを追及している人がいたそうですが,いい指摘だった気がします.それだけ自分の会社を信頼していない証左ですからね.
 まあ車を事故ったと思ってあきらめてしばらく塩漬けにしておきますが,とりあえず毎年役員提案の議決には微力ながら反対させていただく所存です.しかしいつも思うこと.
「私の投資センスって神級.」(厄病神だけどね)

6/28 NHKで「うつ」に関するこんなキャンペーンを始めるそうです.女性を対象にする理由として
1. 女性は「うつ」になりやすい.
2. 「うつ」を放置すると,自殺につながりやすい.
3. 実際自殺未遂者のほとんどは女性である.
4. だから女性のうつをとりあげるキャンペーンをやる必要がある.
 とのこと.

 以上の論理を聞いて,「変だな?なぜ自殺者ではなく自殺未遂者なんだろう.何かトリックがあるんだろうな.」とすぐに感じてしまいました.「変だな」だけでは理系ではないので,一応データで検証してみましょう.
1.ですが,厚生省のページを見ると,有病率は男性:女性=1:2くらいで女性の方が多いのは真です.○
2.ですが,改めて書くまでもなく○です.自殺者の4割くらいはうつ病に由来すると推定されているようです.
3.ですが,女性の自殺未遂の割合は男性の2ー3倍だそうです.○
4.ですが,これは完全に飛躍しています.これまでの論理でわかることはこのキャンペーンをやって効果があるのは女性の自殺未遂者が減るかも,ということです.実際には女性は自殺まではいかない(既遂率が低い)ので,自殺未遂を減らしても,実際の自殺者の数を減らす効果はあまりありません.日本の場合自殺者の男女比はだいたい男:女=4:1ですから,いくらこのキャンペーンをがんばったところで,全体の20%に影響を与えるのに過ぎません.だから×です.
 
本当に日本社会のことを考えて真剣に自殺を減らしたいのなら,男性のうつ病患者を対象とすべきでしょう.わかりにくので小学生にもわかるように説明すると,例えばあるキャンペーンが男女とも鬱病患者の自殺未遂率を10%削減する効果があったとしましょう.簡単のために今の日本の状況を上の統計に基づき,
 男性の鬱病患者数 100000人 自殺未遂者 1000人 うつ自殺者数 500人

 女性の鬱病患者数 200000人 自殺未遂者 2500人 うつ自殺者数 125人
というようなモデル社会と仮定します.ここで,自殺未遂者と自殺者の割合が変わらないという妥当な推定をすればキャンペーンにより
(男性を対象として救われる数)1000×0.1×0.5=
50
(女性を対象として救われる数)2500×0.1×0.05=
12.5人
となります(書いててばかばかしいが).
 結局,女性に限定しても,自殺防止の効果はそれほど期待できないということです.
単に,「女性の方がうつが多い,うつは生活の質を下げてしまう.だから女性のうつを何とかしたい.」という感じならまだ共感できるのですが,自殺うんぬんと結び付けるからおかしくなってしまい,いらぬ邪推をされてしまう.こんな当たり前のことにも気付かないNHKひいてはマスコミのレベルの低さにはぞっとさせられます.


6/22 早稲田大学の有名な先生が科研費の流用でえらいことになっています.詳しくはここらへんか,ここらへんに書いてありますが,私の居る業界では知らない人がいないくらい有名な人なので驚いています.2005年には学会賞をとり,さらに世界の化学の法律を作る機関の次期会長に選ばれていたという人物です.特に最後の会長職は,なんと女性で世界初,日本人でも物理化学では知らない人がいない長倉三郎以来の日本人となるはずでした.
 ある程度の科研費の不正流用は聞かない話でもないので,最初は「誰かに恨みをかってチクられたかな?」くらいに思っていましたが,金額が二千万円を超え,さらに900万円は投資信託で運用していたと聞くとちょっと弁護する気力を失います.だって研究室ですぐに必要なお金をストックする目的だったら,絶対投資信託なんてしないですからね.
 こういうケースで思い出すのが,国会議員の公設秘書給与流用事件です.5人ほどの国会議員が,架空の(あるいは勤務実体のない)秘書を登録し,その給与を政治資金あるいは個人資産に流用していたというものですが,うち4人は実刑をくらっています.なぜか独りだけ助かった(執行猶予がついた)のが大阪のうるさい人なんですが,この人で約1800万円の流用額(厳密に言うと,詐欺被害額)で,執行猶予がつくかどうかというきわどいラインだったので,今回のケースも下手をすると,いきなり実刑をくらってもおかしくないケースと言えるでしょう.
 ただ女性だから裁判は結構甘めになるので,反省していれば何とか執行猶予はつくでしょうね.でも科学者としての人生はもう終わりかなあ.


6/10 エレベータの事故で高校生が亡くなってしまいましたが,外資系のエレベータ会社の「うちは悪くないもんねー」という対応が話題になっています.日本の会社だと最低でも役員全員が頭を下げて,「当社の製品をお使いになって,このような悲惨な事故につながったことを慎んでお詫び申し上げます.安全の確認および原因の究明に全力を尽くす所存です.」くらいは言うと思いますが,外資系ということで,文化が違うんでしょう.しかし言うに事欠いて,「エレベーター産業での事故は主に不適切な管理か利用者の危険な乗り方に起因していることが多い」なんて被害者にも落ち度があるということを言いきってしまうとは.もう日本で仕事する気ないんでしょうか.
 いくら外資系でもこれはひどい,たぶんオランダかスイスの会社だろう,と思っていたら案の定スイスの会社でした.実はここらへんの国出身の多国籍企業は「セコイ」(andやり口が汚い)ことで有名です.まあそうしたからこそ,小国出身で大会社まで発展できたのでしょう.でもそんなことばっかりやっているからここらへんの国はせこさをヨーロッパ中でネタにされてしまうんです.海外のジョークを見ればいろいろ出てきますね.
 両国とも日本での評判は悪くありません.むしろスイスなんかはハイジと永世中立国というすごくいいイメージで洗脳されている気がします.でもですね,この国,結構やばい面を持っていると思うんです.
1. 徴兵制がある.基本は国民皆兵.
 永世中立というよりは,まわりのどこの国も信用しない.自分の身は自分で守るというケンシロウのような考え方です.冷戦の時は核シェルターばんばん作っていました.自分さえ助かればそれでいいんです.きっと.
2. お金を増やすチャンスは逃さない.
 銀行に世界中からお金を集めているのですが,預けていた人がいなくなったりした場合,ちゃっかり自分のものにしてしまいます.ホロコーストに遭ったユダヤ人資産のうち,亡くなった人の分をネコババするのは当たり前,本人や遺族がスイスの銀行に取りにいっても「書類が残っていない.」とか因縁をつけて払わなかったりします(ここらへんは戦後50年たってからユダヤ人団体に思いっきり叩かれてやっと払ったといういきさつがあります).
 ちなみに日本も第二次大戦後スイスにあった日本人資産がしっかり接収された(1500万フラン,当時)上,賠償金(12億円,当時)まで請求されています(実際とられたかどうかは確認していませんが).すばらしく機敏なところのある国です.日本も金融立国するなら,見習わないといけない姿勢とは思いますが,そんな日本は見たく無い気もします.
3. 結構人種差別がきついらしい
 ここらへんはとある本の受け売りですが,ヨーロッパの中ではかなりよろしくない方だとのことです.まあこれは実際に体験したわけではないのであまり言いません.でも旅行とかの時は注意しようと思っています.

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