7/12 まんがに関する国の文化施設がかなり批判を浴びています.マスコミが政局をからめてかなり批判的に取り上げていますが,自分はまんがの原作,それも古いものが楽しめたらそれはそれで結構いい施設だと思います.戦後の文化を若い人が知る施設に工夫次第でできるような気がしますから.「いや,さざえさん,ヒロポンでらりっているよ.」とか,「ゴルゴ13しゃべりすぎ」とかかなり盛り上がれること必定.そんなのよりも,現状それ以上にひどい文化施設がこの世の中にはいっぱいあります.収蔵品が確定しているだけましではないかと.
 先週長崎にまたちゃんぽんを食べに行って,その後に立ち寄った長崎歴史文化博物館.結構新しいだけに収蔵品に苦労したのか,ありがちなレプリカとCGのオンパレード.文化財ぽいので記憶に残るのは全くありません.再現した江戸時代の民家の室内とか,江戸時代の長崎奉行所とか,かなり凝ってはいますが,肝心の文化財が全くといっていい程ありません.重要文化財もほとんどないような状況.結局人集めに,「長崎奉行所の御白州の芝居」をどっかの劇団にやらせる始末.お奉行の貫禄と演技力は確かに立派なものでしたが,これを見終わった感想は「これ,博物館でやることかいな」.劇も今風にアレンジしてあって,当時の文化的背景を忠実に再現したものではなく,ほんと娯楽中心の構成でした.まあちゃんぽんを食べるついでに行ったのですから自業自得ですけどね.でも解説がやたら朝鮮半島経由の文化伝来を強調する点とか,朝鮮半島のことを「韓半島」と説明しているなど
,この施設を作った人たちの構成がわかると薄ら寒い思いがしました.
 それだけに終わらず,帰りに見た展示は,「壱岐展」.特別展で別料金でしたが,最悪でした.何の印象も残っていません.どうやらここに展示したものが将来壱岐にできる広大な博物館の展示物になるのでしょうが,どうやってこの内容で客を呼ぶのか意味不明です.ため息をつきながら帰途につくと,かみさんがとあるパネルに立ち止まって興味深そうに眺めていました.なんか面白いものがあるのかと思っていると,その壱岐にできる博物館の主力展示内容です.その名も,
「でるかもしれない展示」
おいおい.その史跡で将来出てもおかしくないものをCG等で展示するというものですが,さすがにやり過ぎです.見る人によってはただの妄想,NHK大河ドラマ,いやもっといって,韓流ドラマ「チャングム」状態.さすがに広大な資料館を埋めるだけの資料がないと設計者わかってやったのでしょうが,これはいかんでしょう.こういうぶっちゃけたことする設計者誰かと思ったら,今は亡き黒川紀章,さすがとしか言い様がありません.ぶっちゃけすぎ.
 そんな感じで参った私はほんとの文化財を見たくて,宗像大社に行きました.ここは別格です.前にも何度か行ったことがありましたが,ここは何度行っても大丈夫.それぐらいすごい文化財の山です.
 休日午後なんですが,人がほとんどいません.なぜなんでしょう.国宝の数は多分全国一です.
私:「大人二人お願いします.」
おっちゃん(80歳くらい):「一階は狛犬などの重要文化財,
二階は国宝になります.8万点あります三階は書簡などです.」
 との淡々とした説明.前にも行ったことがあったので知っていましたが,全国でこれだけ濃密に国宝がある博物館を私は知りません.ちなみに九州国立博物館でも常設は3点のみ.二階は三角縁神獣鏡など,歴史の教科書に載っているような国宝ばかりです.国宝がほとんどの階を持つ博物館なんて全国でもほとんどないことでしょう.普通こういうところは厳しい学芸員が監視してちょっとでもあやしい挙動をするとすぐに反応するのですが,ここはあの説明してくれたおっちゃんのみで各階には誰もいません.さすがに2階には誰かいるかと思いましたが,すっかり裏切られました.こんな警備のところに国宝寝かしておいて大丈夫かと.ちなみ重要文化財なんて,ここ,ガラスケースにすら入っていません.
 博物館作るのは勝手ですが,こういうところに重点的にお金をつけるほうが大事と思います.ここの運営は民間,しかも出光興産から相当(4億くらい)の額が支出されていますが,本来国がやるべきことと思います.独立を維持したい神社と,政教分離にうるさいマスコミのせいでこういう文化保持状態となっているのはほんと悲しいことです.

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