10/16 ちょっとわけがあって,最近身内の家庭教師をしていました.物理の基本について教えていたわけですが,エネルギーは何かということを説明しなくてはならなくなり,単純に「仕事をする能力のこと.仕事というのは力×移動距離で定義される」と話しました.ここまで基本に帰るのはある意味新鮮です.仕事への移動距離の寄与って大事なんだといっそう実感できますから.
 そういえば昔,駅の構内に圧電素子のマットを引いて発電する試みがニュースになっていました.その後その結果のニュースを聞いていませんが,おそらく失敗に終わったことは高校の物理の知識でも十分に理解できます.例えば体重60kgの人が十歩そのシートの上を歩いたとして,その発電量を計算してみましょう.人は地面が凹むのにはかなり敏感ですから,歩くたびにcm単位で凹んだらかなりストレスを感じます.実用的には5mm凹ませられるかどうかでしょう.そうすると1人が一回に発電できるエネルギーは,
 60kg×9.8 m/s2×0.005m×10(歩)≒ 30J 程度です.仮に1000人が1日にそのシートを通過したとして得られるエネルギーは30kJとなります.このエネルギーはどれだけの電力に相当するかですが,100Wの電球が消費する電力は 100J/sですから,100%の効率で発電したとしても30×1000/(100) = 300秒.5分しか点灯できません.1人が発電機のついた自転車10分軽くこいだほうがましです.
 
しかし.こういうバカな実験金かけてするってことはこういう基本的な見積もりあらかじめしてないんでしょうか.ほんと不思議でなりません.駅のホームのはじにでも待ち時間に使える発電自転車おいとくほうがよっぽどましですね.

10/4 今日は職場の大掃除の日です.職場のほぼ全員で,まる一日他の仕事をしないで片付け,掃除をしていました.能力と才能に満ちあふれている人たちが,誰でもできるような仕事をするわけですから,本来の仕事をして掃除を外注したほうが西洋的な価値観からは合理的なのかもしれません.しかし,偉い人も偉くない人も,また能力のある人もない人も同じ立場で,公共の場をきれいにするために労力を提供するということは,村社会的と言われるかも知れませんが,本来日本人が持つべき矜持ではないかと思っています.今回も職場のほとんどの人が,朝から夕方までほんと身を粉にして働いていました.今時の若い人は云々と言う人がいますが,今時の若者は非常に素直でこういう時も頑張る性格の人が多く感心します.もっと報われてほしいものです.

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