アートな世界
私が見てきた美術展を紹介します。コメントはあくまで私個人の独断と偏見によるものです。
★印はオススメ度を5段階で表しています。また、◎印のついている美術展は、図録もあるので、
興味を持った方にはお貸しします。
ウィーン分離派展 (2002年) ★★★
クリムトをはじめとするウィーン分離派のコレクション。
特に面白かったのは、分離派展で紹介された絵だけでなく、分離派展の
告知ポスターやチケット、季刊誌などもたくさん展示されていたこと。
これらも全て、分離派の人々のこだわりと信念によって作られています。
分離派には入っていないはずだけど、最後はエゴン・シーレの作品まで
展示されていました。
コンパクトにまとまった、とても見やすくなじみやすい美術展だったと思います。
愛のシンフォニー シャガールコレクション展 (2001〜02年) ★★★
「愛」をテーマにたくさんの作品を残したシャガールのコレクション。
ニースのシャガール美術館に匹敵するくらいのギャラリーで、アニヴェルセル表参道で
開催されていました。人が空中に浮いている絵が多いけれど、それで気分の高揚を
表しているようです。幻想的とも言える絵からはあたたかい平和的な雰囲気が
伝わってきたりもしました。
また、物語の何部にも及ぶ連作などはとても気楽に楽しめて、
私はシャガールに対する一種の偏見がなくなった気がします。
デュフィ展 (2001年) ★★★★ ◎
ポンピドーセンターが所蔵するラウル・デュフィの作品を集めた美術展。
マティスやセザンヌなどに影響を受けて、フォービズム・キィビズムへとどんどん作風が
変わっていきます。ほんとデュフィの色んな作品が一度に見ることができ、とても面白かった。
私はディフィはもともと好きだったけど、もっともっと好きになりました。
ディフィの魅力がいっぱい感じられる素敵な美術展でした。
メルツバッハー・コレクション展 ”色彩の歓び” (2001年) ★★★
スイスのメルツバッハー夫妻のコレクションは世界屈指の水準と評価されているそう。
色彩をテーマに集められた作品は、マティス、ヴラマンク、ブラックなどの私が好きなフォービズムの
画家がそろっていました。その他ピカソの「青の時代」の絵もありました。
周りを見渡すだけで、鮮烈で大胆で輝かしい色使い。まさに”色彩を愉しむ”ことができます。
ただ、ドイツの画家の絵も多く、私はほとんど知らなかったのでそれが少し残念です。
ヴェトナム現代作家展 (2001年) ★★
ライス・ペーパーの上に墨で描いたり、ヴェトナム芸術の代表である漆絵など、
色々見れて面白かったです。
題材は、水牛などが多くのんび〜りした感じ。でも、漆絵はほんと
幻想的な感じがして、綺麗でした。
小さい絹絵もありました。この展覧会は、ロビーフロアでの展示で、その場で
絵を購入することもできます。とは言っても、一つ何十万もするけどね。
展示数が少ないから、星2つにしておいたけど、内容はかなり良かったです。
夏に大きい展覧会が開かれるみたいだけど、場所は新潟の栃尾市美術館。
行くのはちょっと無理みたい。
20世紀ポスターデザイン展 (2001年) ★★★
いろんなポスターをテーマのジャンル別に展示してありました。
それぞれのパネルには、作家や技法だけじゃなくて、それが創られたときの
政治と経済の状況とかも書いてあったのが面白かった。
私が思わず微笑んでしまったのは、アンドレ・フランソワの作品で、
「D国で見事グランプリを獲得したM氏」っていうやつです。
DとMって??見たらわかります。さすがでした。
その他、ステーンベルク兄弟の作品なども見ることができて、良かったです。
彼らの作品はほんっと貴重らしくて、何千万円もの値段がつくみたい。
スタイルは、アールヌーヴォーやシュールレアリズム・即物表現主義・ダダイズムなど
ほんとにさまざま。未来派っていうのもあったけど、未来派ってなんだ??
ラグー・ライ写真展 (2001年) ★★★
ドキュメンタリー写真家ラグー・ライのインドの写真です。
彼は、キャパが作った大物写真家集団「マグナム」の会員らしいです。
写真は、インドの色んな人々が中心。彼の祖国インドへの愛情が伝わってくる・・・
なんて言ったらカッコイイけど、でもホントにそんな感じです。
ただ、風景を撮ってもタージ・マハルを撮っても、ほとんどそこに人が写っています。
ただの、風景写真じゃなくて、何かにじみ出てくるものがあります。
私が一番心惹かれたのは、孤児を抱いてるマザー・テレサの写真。
彼女の眼というか、視線に一瞬ゾクッときました。優しさでも怒りでもない。
ただ、現実をそれこそ無心で見つめてるような・・・
7月1日まで渋谷のbunkamuraでやってるので、是非観てください。
ジャン・コクトー展 (2001年) ★★★★★ ◎
詩、小説、演劇、映画、美術と才能を発揮したフランスのジャン・コクトー。
ラディケ、デボルド、キル、マレー、デルミット。そして想像上の男の人も含め、
コクトーが生涯愛した「美しい男たち」が芸術の源、そして材料になっています。
写真や、墨、ペン、鉛筆、油彩など色んな絵があります。
男の人をここまでいきいきと、美しく、そして時にはエロティックに描けるなんて・・・
私はこの展覧会を見ているうちにすっかりコクトーにとりつかれてしまった気がします。
そして、マティスと同様、私がフランスに憧れる一つの原因となってしまいました。
なんて言ったらいいか、わからないけど、久しぶりにワクワクする展覧会に出会いました。
とにかく、絶対絶対見て損はありません。
20世紀ドキュメンタリー写真展 (2001年) ★★★
こんな感じの題名だった気がする・・・。恵比寿の東京都写真美術館での展示です。
私は写真の芸術なんて全くわからなかったし、写真家も全然知らなかったけど、
友達が行こうと言ってたので、ついて行きました。
彼はドキュメンタリーに興味があって、ライカっていうカメラのこと、ロバート・キャパっていう戦争写真家のこと
などたくさん説明してくれて、また展示の説明文を読んで、なんとな〜く写真のことがわかりました。
心打たれる写真が多く、正直感想は「写真ってこういうものだったのかぁ」って感じです。
とても楽しめました。そして、私が芸術としての写真に興味をもつきっかけにもなったと思います。
私の興味はロバート・キャパから一の瀬泰造へと移り、彼の書簡や日記を集めた「地雷を踏んだらさようなら」を
読んでみたくらい。写真について、もっともっと知っていきたいと思わせてくれる展覧会でした。
エドワード・ホッパー展 (2000年) ★★★
アメリカの原風景画を追い求めたホッパーの展覧会。今まで私が好んで見てきた絵とは全く
感じが違い、新鮮に感動できた。色使いがとても綺麗なので、なぜか絵が明るく見えます。
落ち着く、独自の世界を持った絵でした。
パリ市近代美術館展 (1999年) ★★
これもピカソ、シャガール、モディリアニ、ボナール・・・って感じなんだけど、私の中では
あんまり印象に残ってません。なんでだろ??
ピカソ展 (1999年) ★★★★
去年もピカソ展行ったっけ?去年のは渋谷のBunkamuraで開かれたものだけど、今年のは上野の森美術館
で開かれたものです。たしか、高校の数学をさぼって見に行って、閉館時間までじっくり見てた気がする・・・。
しかも秘蔵コレクションを日本初公開とかいってたなぁ。私はピカソの女の人の絵が好きです。
お母さんの絵とか、海辺を走る人の絵とか、太くて手がとても大きくて、母性ってものを鋭く感じます。
パリ・オランジュリー美術館展 (1998−99年) ★★★★ ◎
フランス近代絵画がそろったって感じ。ピカソ、モディリアニ、セザンヌ、ルノワール、ルソーなど
けっこうみんな知られていて楽しめるんじゃないかな。もちろん、マティスがいたから私は大満足です。
こういうのを見るのが、学校とかでも習う「美術」に一番役立つのかなぁ・・・。
アフリカ・アフリカ展 (1998年) ★★★
アフリカのアーティストたちの作品。だから、どれも知らないひとばかり。
でも、アフリカの霊の絵や動物の絵など興味深い絵がたーくさんありました。
しかも、タッチが独特で、色使いもビックリさせられるものばかり。アフリカ的センスが楽しめます。
レンブラントと巨匠たちの時代展 (1998年) ★★
レンブラントっていえばエッチングでしょ?と意気込んで行ったら、あんまりエッチング(銅版画)の作品がなくて
ちょっとガッカリ・・。ほとんどレンブラントやルーベンスの黄金時代のオランダ、フランドル絵画が中心でした。
なんか、「横顔のサスキア」っていうレンブラントの絵は、カッセル美術館の門外不出の名画らしく、話題をよんでました。
ピカソ展 (1998年) ★★★★
ピカソというと、ゲルニカとか有名だから、キュビズム的な絵を思い浮かべる人が多いと思うけど
青の時代の絵など、全然違います。ピカソの人生に起こった様々な出来事のひとつひとつが直接的に作品に
表現されています。ピカソをまるごと味わうことのできる充実した展覧会でした。
ターナー展 (1997年) ★★★★ ◎
テート・ギャラリー所蔵のイギリスのターナーの作品の展覧会。ターナーは、地誌的水彩画家として旅行しながら、
風景を克明に描写していった画家です。ターナー自己の感性が投影された絵が多く、光と空気の表現がすごいなと
思いました。彼は印象主義、抽象主義に先駆する画家だということです。
慶應の文学部の世界史の入試問題でターナーの絵の題名が書かれていて、「ターナー」と答えさせる問題が
ありました。これが解けたのは、この展覧会に行っていたからかな。
ルーヴル美術館展 (1997年) ★★
あまり印象に残らなかった美術展。1人の画家を取り上げるほうが、面白いからかな。
ルーヴル所蔵の作品ってことで、色んな画家の作品を少しずつっていうのは見る方もけっこう疲れる気がします。
テートギャラリー展 (199?年) ★★★★
どこの美術館でやってたか覚えてないけど、かなり楽しめたことは覚えてる。
エヴァット・ミレーの「オフェーリア」を間近で見れただけで感激。こんなに綺麗な絵はそうないと思います。
できるなら、もう一度見たい。
ポンピドー・コレクション展 (1997年) ★★★★ ◎
これぞ私は待ち望んでいた美術展の1つ。20世紀美術を中心とする作品で、ピカソをはじめ、
マティス、デュビュッフェ、ジョルジュ・ブラックなど私が大好きなものばかり。
特にマティスの代表作が数々と並んでいたのには感激!! でも、とにかく展示数が多すぎて
少し疲れてしまいました。
ヴラマンク展 (1997年) ★★★★
モーリス・ド・ヴラマンクの生誕120年を記念した展覧会。
情熱的な絵が多い。彼がゴッホの回顧展で感動した時代の作品はフォービズムの名ももらったらしいです。
でも、その後セザンヌの回顧展でまた変わってきたというけど。
いずれにしろ、彼の光を持ってるかのような色彩、大胆なタッチが私は大好きで大満足でした。
結局どんな流派にもとらわれなかった自由人ヴラマンクが楽しめます。
ムンク展 (1997年) ★★★★★ ◎
ノルウェーの画家、表現主義の先駆者エドヴァルド・ムンクの展覧会。よく、「叫び」で知られているはず。
ムンクの絵は、死や苦痛、不安を感じさせるような絵ばかりではありません。初期にムンクが印象主義に魅かれて
いた頃の絵は、また違ってとても落ち着きのある美しい絵がたくさんあります。
わたしも、「え?これがムンクの絵?」ってビックリしてしまいました。その他、写真やリトグラフもそろっていて、
見る価値アリアリです!!
イタリア・バロック絵画展 (1997年) ★★★ ◎
プーシキン美術館所蔵の絵画の展示です。プーシキンは、エルミタージュと並ぶロシアの2大西洋美術館で、
イタリア・バロックのコレクションがそろっています。ということで、見なくちゃ!と思って行ったのですが、
私はあんまりバロック絵画には興味がないようです。
でも、ローマ派、ボローニャ派、フィレンツェ派、ナポリ派、ベルガモ派、ジェノヴァ派などがそろっています。
とかいって、私はこんな派があるなんてことも知らなかったけど・・・。
ただ、ペンやチョークなどの素描が数多くあったので、その点はとても面白かったです。
シカン発掘展 (1995年) ★★ ◎
黄金の都シカンの都を発掘して出てきた物の展示が中心です。古代の物ってなんか興味が持てるけど、
あまりシカンのことを知らなかったのでイマイチ楽しめませんでした。
ただ、図録を買ってあとで見てみるとかなり勉強になります。
モネ展 (199?年) ★
何年か、正確には忘れました。たしか、上野の西洋美術館かどこかでした。
モネの有名な絵がたくさん来ていたんだろうけど、混み過ぎていて全然落ち着いて見れませんでした。
モネの絵が見たいなら、日本橋のブリジストン美術館の常設展をオススメします。
カリジェと案野光雅展 (1994年) ★★★★ ◎
スイスのビュンドナー美術館、スルシルヴァン美術館の所蔵を中心とするアロワ・カリジェと案野光雅の作品。
カリジェは絵本作家で、「国際アンデルセン賞第1回画家賞」を受賞しました。私の大好きな画家の1人です。
スイスの大自然を舞台に子供達の素朴な風景を題材にした物語と絵は、ほのぼのとしていて、落ち着きます。
案野光雅は、よく絵本を日本でも売っているので知っている人も多いのでは?彼もカリジェの熱烈なファンなんですよ。
上記の他、ブリジストン美術館の名作選(西洋編)の図録があります。