思い入れコラム

 

■ウィンザーニュートン■

高校で美術を選択したとき、
奮発して買ってもらったイギリスブランドの油絵具。
最初に描いた絵は、友達の肖像画でした。
ぜったい単色を使わない、
肌と背景を同系色の緑ベースで描く、
かなり試行錯誤して満足できた感じ。
2枚目は即興30分で描いた果物の静物画です。
色彩美をかなり意識した。
3枚目は1週間くらいで描いた花の静物画。
存在感がない って評価は高くなかったな。
その後は描いたり描かなかったり。
こんなんじゃ、ウィンザーニュートンが泣いてるね・・。
最近、綺麗な街並みや美しい紅葉を見たりして
絵を描きたいなぁって思ったりするんだけど。
いつか、 クローゼットの奥のほうから
ひっぱりだす日が来るかしら。

 

■ケンちゃん■

フェリスに通っていたある頃、
聖母愛児園でボランティアをしていました。
そこは孤児院で、小さい子供達のお世話が私の役目。
彼らの靴を洗ったり、洗濯物をたたんだり、
一緒に遊んであげたり・・・で半日が過ぎます。
小さい子が大好きな私はとても楽しかった。
そしてなぜか4〜5歳くらいの男の子にモテました(笑)
ある時、鬼ごっこをやっていたら、
私になついていた“ケンちゃん”という男の子が
ふと私につぶやきました。
「おねーちゃんは、お父さんがいて いいなぁ・・・」
その言葉はいまだに忘れられない。
私は何て答えたらいいかわかなくて、
神様とか持ち出しながら必死に諭してたっけ。
ケンちゃんも、今はもうかなり大きくなってるはず。
元気にしてるかなぁ・・・。

 

■アリ■

アリは大嫌いです。
ゴキブリも蚊も嫌いだけど、何よりアリが嫌い。
幼い頃コンペイ糖が好きでよく食べては、
母から言われていました。
「甘いもの食べてると、アリさんが来るわよ。」
そして、或る夜、ほんとに来ました。
たくさんのアリが綺麗に行列を作って私の体の上に・・。
私は恐怖で飛び起きて、泣きついた覚えがあります。
もちろん、そのアリは夢の中だったんですけど、
恐怖はなくなりませんでした。
木登りが好きだったけど、 夏はNG。
木にたくさんアリがいるからです。
アリ地獄を応援したいです。

 

■小人の指輪■

小さい頃に父からもらった指輪がありました。
小人のおじいさんが飾りでついていて、
ちょうど白雪姫の7人の小人みたいな感じでした。
そのおじいさんの顔を見つめると、
全てを悟っているような、見守ってくれてるような。
小学生の時、私はずっとその指輪を神様として崇めていました。
絶対に自分の指にはめることはなくて、
上部が透明のケースに入れたまま飾り、
お願い事がある度に、指輪のおじいさん宛に手紙を書きます。
その用紙はちゃんと決まっていて、
淡いピンクの絞り染めがある、和紙の手帳でした。
二十歳を過ぎた今も、指輪も手帳も健在ですが、
私の小学校後半は毎週の塾の試験の出来をお願いするものばかり。
ちょっと・・あきれちゃったけどね。あの頃は必死だったのね。
最後のお願いは「フェリスに受かりますように」
これ以降、私の指輪信仰は途絶えてしまったみたい。
最後のお願いも叶えてくれてありがとう。

 

■ラブレター■

私が最初にラブレターを書いたのは、幼稚園の時。
しかも純愛ではなく、浮気でした(笑)
ジュンちゃんと婚約してたのに、トモ君にラブレターを書き、
それをなんと・・自分の親に預けたのです。
一応、直接渡すのを恥らっていたわけですね・・。
親はもちろん中身を見てしまい、ずっと覚えていました。
「私はいつもトモ君のことを考えています」
ほんとに?幼稚園児にしては、なかなかだけど。
トモ君の家で見ることのできる仮面ライダーのビデオのことを
考えてたんじゃないの?見たかったんじゃないの?
恐らくそうだったと思います。
仮面ライダーにつられて、 5歳で浮気をした私でした。

 

■ピアノ■

私のこれまでの人生の半分弱くらいは、
ピアノが生活の中心であり、生きがいでした。
ピアノの練習をするのは、毎日顔をあらうこと、
ご飯を食べることと同じくらいに思っていました。
小学3年の夏。 コンクールに3つも出場し、私のピアノ最高期。
突き指を恐れて、体育の球技を見学したり、
せっかくサンタさんからもらったローラースケートの
禁止令が出たり。最後は自転車も・・。
1日6〜7時間の練習を重ねて、コンクールに臨みました。
私はこの頃、ちゃんと目標を達成してた気がする。
いい加減、夏休み全く遊べない生活にも不満だった私は、
コンクール4位になりたいと願ってた。
九州地区で4位。上位3位は全国大会に進むため、
コンクール本選後も気を抜けない。
私は九州4位で十分だったんです。今思えば情けないけど。
そして本当に4位になっちゃった。
実力だから仕方ないけど、目標をもっと高く持っていれば・・。
後でそんなことを考えちゃうんだよね。
常に1番上を目指して頑張るべきだったんだと、思いました。

 

■エッチング■

高校生の時、大好きでした。
そんなに作品を残したわけではないんだけど。
銅にフィルムをはって、それを細い先端で削っていく。
硝酸で浸食させて、溝にインクを入れ、版画にします。
浸食時間によって線の感じに違いを出すこともできるし、
削る線がとても繊細なために、版画自体もペンで描いたよう。
「線で全てを描く」っていうのをとっても意識しました。
ひたすら細い線の傷をたくさんつけて、
全体の構図を仕上げていくやり方が楽しくて楽しくて。
夢中で銅を削っていた、化学の時間。
もちろん美術の時間にやるべきなんだけど、物足りなくて、
嫌いな化学の時間を「銅の時間」に充てた。
なかなか理屈は合っていたかもなぁ。
現在はひたすら画家の作品を見るだけです。
でも、またこれがとっても楽しいんだ。