生命倫理

*これは私一人の成果ではありません。国際シンポジウム生命倫理分科会のメンバー4人の共同成果であることを

  最初に記しおきます。

 

総論

 21世紀を目前として、1997年には英国ロスリン研究所でのクローン羊ドリーの誕生、2000年6月にはヒト・ゲノムの

90%の解読終了が発表されるなど、ライフサイエンスの分野には大きな発展が見られた。人間の全DNA 配列を解読する

ヒト・ゲノム計画は2003年に完了が予定されている。また新しい技術として、胚性肝細胞(ES細胞)の利用が注目されて

いる現在、これらの技術を用いた新しい治療法の開発を通じてわれわれの生活が一段向上することは間違いないだろう。

 このような目覚しい科学の進歩の背景には、単なる技術の進歩だけではなく、バイオテクノロジーが商業と結びつき、

遺伝子産業のような新たな産業が生まれてことがあげられる。科学技術の研究は人類に科学の進歩という恩恵だけでなく、

金銭という利益ももたらすようになったのである。これによって個人個人の体質に合った治療を受けられるオーダーメイド

医療や、生活習慣病の改善に向けたライフスタイルの改善などが可能になった。その一方で、出生前診断による

産み分け、保険加入の拒否、人種差別などが生じる可能性がでてきた。実際に、日本でも遺伝子診断の結果、

遺伝病と判断された男性が保険会社から保険金の支払いを拒否されるという事例が生じた。(7月29日付朝日新聞)

 バイオテクノロジーが人類に種種の恩恵をもたらす金の卵となった反面、上述のような新たな問題が派生してきた

わけである。このようなバイオテクノロジーの進歩は国際化が進む中で、特許の問題や、南北格差などの問題とともに

生命倫理の問題を生み出してきた。では、その技術を使うわれわれは今、この技術発展とそれに伴う問題について

どれほど認識しているだろうか。かつては夢物語に過ぎなかった技術を手にして、ここに生じてきた新たな問題に

対処するために、われわれの倫理観を再構築する必要があるのではないだろうか。

 

 

以下工事中。ごめんなさい。