福島県郡山市三春町の郊外、高柴にある高柴デコ屋敷に行って来ました。デコ屋敷という名前は以前から知っていたのですが、イメージとしてなんとなく古い一軒の民家があるだけなのだろう思っていたのですが、行ってみてはじめて知ったのですが、「デコ屋敷」とは三春人形や三春駒を作る5軒(本家大黒屋、本家恵比寿屋、彦治民芸、ゑびす屋、恵比須屋)の家の総称、つまり集落の名前だったのです。
そこは江戸時代から続いてきた歴史ある民芸の里で、そこでは色鮮やかな張子人形である「三春人形」や、日本三大駒のひとつである「三春駒」、「三春ダルマ」などが今でも、伝統職人たちによって制作されているのです。
デコ屋敷の「デコ」とは人形の別名「木偶(デク)」がなまってデコになったということで、つまり人形屋敷という意味なのです。その名のとおり、屋敷の中は張り子や木の人形でいっぱいです。
土人形が起源とされる三春人形は和紙を用いて独自の発展を遂げ、 江戸時代の中期、庶民文化の高まった文化・文政時代を頂点に江戸を始め 奥州各地で評判を呼び、天下の名玩とうたわれたということです。
福島を代表する伝統的キャラクタ、赤べこ、三春駒をはじめ、天狗、ひょっとこ、狛犬など、魔よけや縁起物たちが、所狭しと並びます。
高柴の張り子作りは、江戸時代の元禄年間が始まりといわれています。工房では300年の伝統を受け継ぐ職人さんたちの熟練の技を見学することもできます。
また希望者には、絵つけを体験することもできるとのことです。
(絵付けに関するお問い合せは下記まで)


■施設名
●高柴デコ屋敷 本家大黒家
お問合せ先 〒963-0902 郡山市西田町高柴字舘野163
TEL 024-971-3176
受入体制 期間/通年 人数/1人〜30人 時間/9:00〜15:00
料金 1人1,000円
特記事項 希望日の5日前まで予約要 所要(作業)時間30分

●恵比須屋
期間/通年 時間9:00〜15:00 人数/1〜30人 料金/1人1,000円
エ024(971)3900 ※5日前まで要予約

●本家恵比寿屋
期間/通年 時間9:00〜15:00 人数/1〜30人 料金/1人1,000円
エ024(971)3175 ※5日前まで要予約
デコ屋敷では、人形の他にもさまざまな民芸品や工芸品、地元の特産品なども販売しています。古い日本家屋の縁側での日向ぼっこも気持ちいいのです。
おばあさんが一人、店番をしながら絵付けをしている家がありました。ここは、商品が整然ときれいに並んでいて、とても雰囲気の良い店でした。土間の一角にはちょっとした椅子とテーブルが設けられていて、そこでは一組のカップルが休んでいました。ふと、店のおばあさんが、その彼を呼ぶと「おふたりに記念にこれをあげるよ」と言って、赤ベコのキーホルダーを手渡しました。彼はそれを受け取り「ありがとうございます。大切にします。」と言っていました。おばあさんは、「おふたり、ずっと仲良くね!」と笑顔を送っていました。なんでも神奈川方面から来たというカップルだそうで、なんともほほえましい光景でした。
デコ屋敷の集落への入口にあたる場所には「おいち茶屋」という名のおみやげや兼食堂があります。そこの名物は「おいち餅」です。この周辺は、磯辺焼きのこおばしい香りが漂い、この餅を買い求める人々が切れることなく続いていました。
また、ここのおばちゃんが、「志村けん」のギャグ「だいじょぶだぁ」の発祥の元となった本人だということです。
食堂のメニューにも、名物「おいち餅」が入った「おいちうどん」がありました。いわゆる「力うどん」ですが、餅の特長として、普通の餅よりも、中身が詰まった、腰の強い感じがしました。
●おまけ●

おみやげ屋の外に手ぬぐい(左写真)が展示してありました。気に入ったので買おうと店に入り、店主に聞くと、在庫が無いとのこと、「いい絵柄ですね。」と言うと、「畦地梅太郎」という版画家の作品だと言うことでした。残念なことに、原版が磨り減ってしまい、再生産のメドは今のところ立っていないとのことでした。
悔しいので、とりあえず写真だけでもと思い撮影してきたのです。

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