上のタイトルバック写真は、ひと昔前の絵はがき風にちょっと加工してみたのですが、今回紹介する「乙字ケ滝」は、いかにもこんな風合いの時代を感じるスポットです。
那須高原に源を発する阿武隈川が、福島県のほぼ中央にあたる須賀川市内に入ると、乙の字をなして激しい水しぶきをあげて流れ落ちている箇所があります。これが、日本の滝百選のひとつである「乙字ヶ滝」です。滝の脇は乙字ケ滝公園として整備されています。

駐車場に車を止め公園内に入ろうとすると、のっけからぶっそうな警告文が立ててありました。これっていわゆる旧日本陸軍の不発弾ていうヤツ!?それとも米軍の空襲の不発弾!?はたまた自衛隊の訓練弾!?なんでこんな所に?真相は追って調べてみたいと思います。
公園には芝生が張られていて、そこから乙字ケ滝を見下ろすことができます。滝が乙の字になっているのがわかります。また乙字ヶ滝公園は、春になると沢山の桜が一斉に咲き乱れる絶好のお花見スポットでもあるのです。
公園にはお堂(滝見不動尊御堂)があります。ここは元禄2年に芭蕉が奥の細道で訪れた場所でもあり、その時に詠んだ「五月雨の 滝降りうづむ 水かさ哉」の句碑が滝見不動尊御堂の傍らに建立されています。
また江戸時代、阿武隈川の舟運の最大の難所と言われ、滝の北側の岸壁を堀割り工事をして船を通した運河跡があり当時をしのぶことができます。
乙字ヶ滝左岸にある乙字ヶ滝遺跡は、約2万年前の石器、石斧などが出土し、須賀川市で最も古い遺跡だそうです。
滝幅100m程度、落差は4、5mといったところでしょうか、水かさが増えるとなかなかの迫力でしょう。公園から川岸まで岩場を下りてみました。岩場はかなり滑りやすくなっています。しかも正直言って川の水はさほどきれいな感じはしませんでした。この付近から阿武隈川はすでに汚れ始めているのにはちょっと驚きでした。
芭蕉が訪れた元禄2年の乙字ケ滝の色はどんなだったのだろう、きっとコバルトブルーの流れとエメラルドグリーンの淵、たくさんの鮎がキラキラ泳ぐ、まさに北斎の浮世絵のようだったのだろうと、想いを馳せる平成15年の乙字ケ滝なのでした。
乙字ケ滝
【交通のご案内】
●JR須賀川駅から「滝崎経由石川行き」バスで20分「乙字ヶ滝」下車後、徒歩1分
●場所/石川郡玉川村大字竜崎字滝山地内             
※2003年6月現在のデータです。

乙字ケ滝