SONY ICF-51の分解と修理

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SONY ICF-51(ポケットラジオ)のスピーカーから音が出なくなりました。イヤホンは正常です。
「たぶん,イヤホンジャックの問題だよな・・・」と,考えられる症状です。

修理をしようと分解を試みましたが,簡単には分解できません。ネットで調べても,それらしいページや画像が見当たりません。
ネットで価格を調べると,1600円(送料込み)というところまであります。金銭面だけを考えれば,買ったほうが安いわけです。
ICF-51は,選局が横行ダイヤルになっています。「いったい,構造はどうなってるんだろ・・・」という興味もあります。
こういうときは,「一杯やりながら,興味本位でやってみるか」という流れでしょう。結果的に修理は成功しましたので,同じような不具合やご興味をお持ちの方のために情報をアップしておきます。

前後カバーは,電池下の2本のビスを外して,多少の力を加え・様子をみながら少しずつケースを開けていきます。音量調整付近は,「多少の力」では済まないくらいの力が必要です。

ケースが前後に分かれると,基板は前側のケースについています。基板は,AM/FM切り替え付近のネジを含めて,合計3本のネジでとまっています。加えて,電池ケース部分のピアノ線の取り外しが必要です。これには,先の細いプライヤーなどがあると便利です。これらを外して,イヤホンジャックをケースから抜く方向に力を加えて,基板を外します。

分解したICF-51の写真です。



横行ダイヤルは,写真の黄色いプラスチック部品です。この部品の軸の一方が同調ダイヤルの細長い溝に入り,他方が前側ケースのガイド溝に入ります。これで同調ダイヤルを回転させると,横行ダイヤルが左右に動作する仕組みです。

基板上の部品点数は,あまり多くありません。
主な半導体素子は,ハンダ面に1個だけCXA1290Nの捺印のある表面実装タイプのICがあるだけです。型番からは,ソニーの内製でしょう。ネットで検索しても出てこないところからは,外販していないソニー製品専用ICだろうと思います。オンリーワンの性能を持たせるために,内製のICで差別化を図る手段はたびたび見られます。
マイナーなメーカー製を「ジェネリック家電」などと呼ぶそうですが,メジャーなメーカーはキーデバイスを内製して外販しないことで競争力を保っています。外観は似てても,性能に開きが出るのはこのためです。アナログ技術の塊であるラジオは,性能に差が現れやすい商品のひとつです。

肝心の修理ですが,故障原因は「イヤホンジャック接点の酸化」でした。この酸化は,次のようにして取ることができます。
イヤホンプラグを抜き差ししながら,イヤホンジャックの後ろ側を見てください。金属片が動くのがわかると思います。イヤホンプラグを抜いた状態で,この金属片をピンセットなどでつまんでグリグリと擦ってやります。これで,OKです。

組み立ては,分解よりも簡単です。分解した順序を逆にたどるだけです。
ちなみに「タイマー」のようなものは、見当たりませんでした。この意味がお分かりにならない方は、気にしないでください。

2013年4月6日
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