AMラジオ ガイド

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 私は2004年頃から、テレビの無い生活 をしています。放送は、もっぱらAMラジオを聴いています。そんな私がAMラジオの全体像から番組紹介まで、個人的視点ですがご紹介しています。

■ テレビを無くすと、自由な時間が増えて、電気代が下がった!

 私が テレビの無い生活 を始めて、最初の感想でした。

 「自由な時間」 とは、テレビに奪われる時間が無くなることで生まれました。 「録りためたビデオをみる」 なんかの時間がなくなりました。 「時は金なり」 のとおり、時間は貴重です。
 それにラジオは目を奪われませんし、パーソナリティー(話し手)も言葉巧みに表現してくれますから、作業しながら聴くなど 「ながら聴き」 ができます。

 「電気代が下がる」 も、実感できます。テレビを持っていた当時はサラリーマンをやっていましたので、あまり長時間はみてなかったのですが、それでも月額500〜1000円くらい下がった記憶があります。

 電気料金の値上げや、温室効果ガス抑制が社会問題化しています。気象庁によれば、近年頻発する豪雨災害などは、温暖化で水の蒸発が増えた結果なんだそうです。発電が、温室効果ガス排出の最大要因です。
 そこで節電が求められるわけですが、テレビより消費電力が小さな 「ラジオでエコロジー」 と言うのは、いかがでしょう?

 

■ 夜間には、日本全国の放送が楽しめます!

 私は神奈川県に住んでいますが、北海道から九州までの放送をローカル放送のように楽しんでいます。
 残念なことに、これは夜間に限られます。理由は、電離層にあります。太陽光があたる日中は、「D層」 と呼ばれる電離層にAM放送周波数に当たる中波帯の電波が吸収されてしまうからなんです。これでE層での電離層反射が起こらず、遠方に電波が届かなくなるものです。太陽光が当たらなくなる夜間はD層の影響が小さくなり、遠方の電波が飛んでくるようになります。

 電波の強さは毎日同じではなく、強い日・弱い日があります。また、「フェージング」 と呼ばれる短時間の周期(数秒〜数十分)での電波の強弱もあります。できるだけ受信感度を高めることで、フェージングはかなり軽減できます。

 全国の放送局を楽しむと言っても、周波数割り当てに注意します。同一周波数に複数の放送局が割り当てられている周波数では 「複数の放送が、同時に聴こえる」 「エコーがかかったように聴こえる」 などで、楽しむのは難しくなります。そこで、1周波数に1局のみ割り当てられている放送局が中心になります。民放のみですが、現時点で次表のとおりです:

放送局周波数[kHz]
CRKラジオ関西558
AFN Tokyo (米軍放送)810
TBSラジオ954
ABCラジオ (朝日放送)1008
CBCラジオ (中部日本放送)1053
文化放送1134
KBS京都1143
MBSラジオ (毎日放送)1179
ニッポン放送1242
TBC東北放送1260
RKBラジオ (毎日放送)1278
HBCラジオ (北海道放送)1287
ラジオ大阪OBC1314
東海ラジオ1332
RCCラジオ (中国放送)1350
KBCラジオ (九州朝日放送)1413
ラジオ日本1422
STVラジオ (札幌テレビ放送)1440

 参考にさせていただいたサイトは、こちらです。

 AMラジオで全国の放送を聴くと、ご当地のCMやローカル放送や天気予報をやっています。ちょっとした小旅行気分になれます。気になるCMは、インターネットでチェック! です。

 

■ 番組改編

 番組改編はテレビと同じく4月と10月にあり、プロ野球シーズンとオフシーズンで18〜22時帯の番組が大きく変わります。プロ野球シーズンでも、月曜日は試合がありませんから、月曜日は1年中同じ番組をやるなどしています。試合中止の日は、音楽を交えたプロ野球関係のトーク番組になるなどします。

 AM放送局には、ひいきの球団を持つところがあります。例えば、HBC北海道放送は日ハムで、RCC中国放送はカープです。これら放送局は、その球団の試合が無い日は他球団の中継はせずに独自の番組をやるなどしています。プロ野球ファンの方は、夜間には全国に電波が届きますから、このような放送局でお楽しみになってはいかがでしょうか。

 最近の傾向として、プロ野球偏重に陰りが出てきたようにも感じます。試合があっても、放送しないことが珍しくありません。テレビでもプロ野球では視聴率が稼げないようですが、ラジオでも同様に聴取率が稼げないのかもしれませんね。

 18〜22時帯以外の時間帯は、おおむね年間を通じて同じ番組を放送しています。

 

■ 番組

 キッズ向けから年配者向けまで幅広い年齢層や、多種多様な趣向に対応した番組があります。放送局のホームページで番組表や番組紹介がご覧になれますから、お気に入り番組を探されるとよいと思います。

 以降は、「これから、AM放送を楽しんでみようかな」 という人の たたき台 として、私の主観を交えて番組の紹介をします。

● 日中の時間帯には、1時間に1回ニュースがあります
 民放を含めて、5分間程度やっている放送局が多いです。

● ニュース専門番組は、大人向け刺激番組!
 このニュース専門番組が私の最初の驚きであり、いまも聴き続ける最大の理由です。驚いた理由は、「テレビでは放送しないし、出来ないだろう」 と思うことをズバズバ解説していたことです。

 一例を挙げれば、政府の提灯記事をテレビ・新聞では、巧妙な言い回しを使うなどで印象操作することがよくあります。これがAMラジオのニュース専門番組では、この印象操作を暴くようなコメントをつけるのです。AMラジオを聴けば、「報道には 刷り込み・プロパガンダ の類が、案外多いものだな」 と、気付くことができると思います。

 ほかの例を挙げれば、新聞・テレビ以上に詳しく報じることがあります。逆に言えば、「新聞・テレビが報じていないことを伝えることで、リスナーを獲得しよう」 というわけです。
ほかにも 「同じニュースを 『新聞各紙は、どこに注目して書いているか?』 を比較する」 などもあります。

 私が聴いている範囲で ニュース専門番組例 を挙げておきますので、ご参考になさってください:

 ・ 「たけろうスタンバイ」 (TBSラジオ)
 ・ 「荒川強啓 デイ・キャッチ!」 (TBSラジオ)
 ・ 「荻上チキ・Session 22」 (TBSラジオ)
 ・ 「おはよう寺ちゃん活動中」 (文化放送)
 ・ 「くにまるジャパン」 (文化放送)
 ・ 「大竹まこと ゴールデンラジオ」 (文化放送)
 ・ 「吉田照美 飛べサルバドール」 (文化放送)
 ・ 「伊東四郎・吉田照美 親父パッション」 (文化放送)
 ・ 「辛坊治郎 ズームそこまで言うか!」 (ニッポン放送)
 ・ 「報道するラジオ」 (MBS毎日放送)

などです。
 「番組全編が、ニュース」ではなく 「1コーナーだけ」 の番組もあります。 「荻上チキ・Session 22」 や 「報道するラジオ」 は夜間の番組ですから、全国でお楽しみいただけます。

● こんな番組も ”いいね!” です
 ・ 武田鉄矢さんの 「今朝の三枚おろし」 (文化放送)
 ・ 吉永小百合さんの 「今晩は 吉永小百合です」 (TBSラジオ)
 ・ 高島保さんの 「Music Delivery BANBAN RADIO!」 (HBC北海道放送)
 ・ 松崎真人さんの 「Music J」 (STVラジオ)
 ・ 「らんまんラジオ寄席」 (TBSラジオ)
 ・ 「録音風物誌」 (民放各局)
 ・ ティルドーン・ミュージック (MBSラジオ)
 ・ ザ・スタンダード (ラジオ日本)
 ・ クラッシックの森 (BSN新潟放送)

 「今朝の三枚おろし」 は、武田鉄矢さんが読まれた本を紹介する番組です。印象に残ったことや、気付き難いものの見方・考え方などを紹介しています。

 「今晩は 吉永小百合です」 は、吉永小百合さんらしい上品さを感じる番組です。私はサユリスト世代ではありませんが、幅広い年齢層のリスナーがいらっしゃるようです。

 「Music Delivery BANBAN RADIO!」 は、1970〜1990年頃までの洋楽を中心にした番組です。関東地方を含め幅広い地域にリスナーを持ち、中・高生リスナーもいるHBC北海道放送の人気番組です。

 「Music J」 は、1970〜1990年頃までの邦楽を中心にした番組です。松崎真人(まこと)さんはシンガーソングライターで、音楽の専門知識を活かしたトークと、3時間番組の中で30曲弱のような音楽シャワー番組です。同じ北海道のHBCが洋楽をやってる真裏で、STVが邦楽やってる感じです。熱いぞ、北海道!!!

 「らんまんラジオ寄席」 は、プロ野球オフシーズン中の番組です。漫才や落語などをやっています。

 「録音風物誌」 は、1953年から続く長寿番組です。民放各局が持ち回りで制作を担当し、日本各地の行事などを録音してナレーションをつけた番組です。

 「ティルドーン・ミュージック」 は、平日午前2時スタートの マニアックな音楽専門番組 です。例えば、昭和アニメ44タイトルのオープニングとエンディング曲を88曲流すなど、音楽シャワー番組です。毎回のテーマは、MBSの番組HPをご覧ください。

 「ザ・スタンダード」 は、毎週月曜日午後7時からの30分番組で、番組名どおり 「スタンダード・ナンバー」 の音楽番組です。ラジオ日本は、このほかにも取り上げたい番組が多い、ラジオ好きが集まる放送局です。

 「クラシックの森」 は、毎週水曜日午後9時からの45分番組で、クラシック音楽の番組です。BSN新潟放送が制作している番組で、ホームページではリクエストも募集していますね。

 これら番組は制作局以外にも、いくつかの放送局でも放送されているものもあり、お近くの放送局の番組表で探してみてはいかがでしょうか。これら以外にも、アイドル系番組,ジャズ・洋楽・歌謡など歌番組,鉄道ファン向け番組,アイヌ語口座など多彩です。

 

■ ラジオ受信機の選び方

 全国のAM放送をご自宅で、テレビ並みの音量で楽しむ ことを前提にご紹介します。
 ラジオ選びの重要なポイントとして 音質のよいラジオ を挙げます。音質がよければ、テレビ並みの音量でもストレス無く聴くことが出来ます。具体例を挙げれば、CDラジカセやコンポなどが分かりやすい商品例です。

 また前出のフェージング対策として、受信感度を高めることが大切です。フェージングで聴こえない期間が長いと、聴く気にならなくなってしまいます。感度が高いほど、フェージングで聴こえなくなる期間が短くなります。

 屋外と屋内の電波の強さが変わらない木造などの建物なら、昔ながらのループアンテナを併用するとよいでしょう。しかし近年では、昔よりも人工雑音源(または都市ノイズ)が増えています。この場合に雑音は屋内配線から輻射されますから、これを避けてラジオの置き場所をみつける必要があります。
 このとき、「雑音を打ち消す」 を利用すると良いでしょう。ラジオの位置を変えると、雑音が大きくなったり小さくなったり、場所によってはほぼ完全に消える場所もあると思います。これは複数の経路から輻射される雑音が、互いに打ち消しあうためです。雑音が打ち消されるのは、例えば10cm以内のような狭い範囲だったりします。またラジオの方向によっても、敏感に変わるなどします。これらをイメージして、ベストポジションを探すとよいでしょう。

 マンションなど鉄筋コンクリートの屋内では電波の減衰が激しく、加えて人工雑音が相対的に大きくなることで、ラジオとループアンテナのような昔ながらの手段では受信困難です。 「屋外で電波を受信して、屋内に届ける」 ような手段が必要です。

 ラジオ選びは、ラジオ受信技術・オーディオ技術で定評を併せ持つメーカーを中心に検討されるのが良いと思います。

 私の手元のラジオで説明します。それぞれ、実測した消費電力も書いています。ちなみに、2015年2月発売の32型液晶テレビの消費電力が60ワットです。

● TEAC SL-D920
 すでに後継機が出ており、SL-D920は旧モデルです。音質はきわめて良好で 「さすが、ティアック!」 です。サブウーハーを搭載した2.1chサラウンドで、AMでもサブウーハーが効果的に働き重厚感ある音が楽しめます。私は日常的に、これを使っています。

 しかし残念なことには、受信性能がよくありません。私は自身で販売しております屋外設置のアンテナと組み合わせていますので使えますが、鉄筋コンクリートの建物で単体だと 「ローカル放送も楽しむにも、ちょっと厳しいかな」 と思います。木造住宅で、ローカル放送限定なら使えると思います。日本全国の放送を楽しむには、木造住宅でもループアンテナなど外部アンテナの補助がほしいところです。
 感度面だけでなく、隣接局の影響を受けやすい問題もあります。具体例としてYBS山梨放送(765kHz)は、AFN(810kHz)の強い電波でAGCが働き感度を下げてるようで聴こえません。後述する2機種では、きれいに聴こえます。このような受信性能は使ってみないと分かりませんから、ネットの 「口コミ」 なんかを参考にされると良いと思います。
 これら受信性能がよくないのは、音質最優先 と MP3のデジタル雑音 から 「あえて感度を犠牲にした」 ように感じます。

 繰り返しになりますが、受信性能に多少の問題があっても日常的に使う理由は、音質がよいからです。例えば番組紹介で取り上げた 「Music Delivery BANBAN RADIO!」 などには、ピッタリのラジオです。

 【消費電力】 12.7ワット  【待機電力】 1.6ワット
 ※いずれもコンセントでの電流実測値で、正確な単位はVAです。

● SONY ICF-EX5MK2
 このラジオは、現在も販売中でお勧めできます。TEAC SL-D920ほどの高音質ではありませんが、ある程度の体積を持たせた筐体(ケース)は、音質を意識した結果かもしれません。音量もそこそこあり、10畳程度の部屋なら全く問題ないと思います。
 このラジオは、AMでの感度重視設計の印象があります。しかし私はこのラジオを、「小型化をあまり意識せず、本来ラジオが持つべき基本性能をバランスよく持たせたラジオ」 という感想を持ちます。コンパクト設計のラジオは、どうしても音質に影響が現れる感じがあります。

 このラジオは、同期検波を持たせたところも注目に値します。同期検波は、隣接局妨害やビート雑音の低減に役立ちます。受信周波数の近くの放送局が被ってきたり、「ピー」 のような耳障りな雑音を消してくれるのです。

 ここで、同期検波で雑音が消せる原理を説明します。AMの電波を周波数軸上でみると、例えばTBSラジオだと954kHzを中心に高い側と低い側の両方にオーディオ信号成分が広がる感じになります。一般の検波(電波からオーディオ信号を取り出す信号処理)は、これら高・低両方の信号からオーディオ信号を取り出します。これに対して同期検波は、高・低のいずれか一方を選択してオーディオ信号を取り出すものです。隣接局妨害やビート雑音は高・低のいずれか一方に乗っていますから、同期検波を使えば雑音が乗っていない側からオーディオ信号を取り出すことが出来るものです。このようにして、同期検波では雑音を消しています。

 このラジオでも単体では、鉄筋コンクリート住まいで日本全国の放送を楽しむのは厳しいです。鉄筋コンクリートでも外部アンテナを併用されれば、日本全国の放送が楽しめます。屋外と室内で電波の強さが変わらない木造住宅なら、日本全国の放送がこのラジオ単体で楽しめるだろうと思います。

 このラジオは、ラジオNIKKEI(旧ラジオたんぱ)が聴けます。第1と第2があり、第1は株式などですが、第2の平日は音楽ばかりを流しています。有線放送のような感じで使ってみるのも良いと思います。

 【消費電力】 4.3ワット  【待機電力】 4.0ワット
 ※いずれもコンセントでの電流実測値で、正確な単位はVAです。また、ACアダプタの消費電力を含みます。
 「待機電力が、大き過ぎるんじゃない?」とお感じになるかもしれませんが、「ACアダプタの消費電力」 と言えます。「ACアダプタが暖かい」 と感じることがあると思いますが、あの消費電力です。使わないときは、ACアダプタをコンセントから抜いておきましょう。
 消費電力と待機電力の差の0.3ワットが、ラジオ本体の消費電力です。エコなラジオだと思います。

● SONY ICF-SW7600G
 このラジオは、1990年代後半の海外出張前に購入しました。現在もメモリー数を増やすなど改良が施され、ICF-SW7600GR として後継機が販売されています。

 このラジオは海外出張などを前提にしているのだろうと思いますが、コンパクトに設計されています。性能面では上記 SONY ICF-EX5MK2 よりも、やや受信感度が劣る程度です。劣るとは言っても、ベランダでギリギリ入感するラジオ福島(1098kHz)で比較したときに違いが感じられる程度です。

 このラジオ福島は、私が販売してる屋外設置の外部アンテナを取り付けると、よりクリアに聴こえます。面白いのは、前出の受信感度が良くない TEAC SL-D920 でも、外部アンテナを取り付けるとこれらソニーのラジオと同様にラジオ福島が聴けます。単体だと、屋外に出しても全く受信できません。アクティブアンテナはラジオの受信感度が少々悪くても、高感度ラジオに変えてしまうのです。

 話をICF-SW7600Gに戻して、この機種は音質がイマイチなんですよね。コンパクト設計 と フィルター が影響しているのだろうと思います。オーディオスピーカーも小型化するほど、音質の確保が難しくなってきます。同じような原理だと思います。放送を楽しむラジオなら、ある程度体積があるラジオをお勧めします。

 このラジオも、同期検波を備えています。長波〜短波まで聴け、SSB受信モードも備えています。米カリフォルニア州では、日本の ラジオたんぱ(現在のラジオNIKKEI) を聴くことができました。

 【消費電力】 2.3ワット  【待機電力】 1.5ワット
 ※いずれもコンセントでの電流実測値で、正確な単位はVAです。また、ACアダプタの消費電力を含みます。

2015年3月4日
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