AMラジオの異常雑音と地震

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 311(2011年3月11日 東日本大震災)の数ヶ月前だったと思いますが、AMラジオの異常な雑音増加が数ヶ月間にわたり認められました。
 これが地震予知の決定版! などと豪語するつもりはありませんが、身近なAMラジオで地震予知を心がけてみるのもいいと思います。

■ 地震の前兆(宏観現象:こうかんげんしょう)としての AMラジオ異常雑音
 宏観現象としての雑音発生メカニズムには、例えば
「強い圧力でぶつかり合う2つの岩盤にズレが生じると、圧電効果によって電気雑音を発生する」
が、言われています。圧電効果というのは、ライターやガスコンロなど着火時のパチパチ音がこれを利用したもので、ある固体に衝撃を与えると電気を発する現象を言います。この電気エネルギーが、AMラジオの雑音になるというわけです。

 一般にラジオにはAMとFMがあますが、この異常雑音観察にはAMのほうが良いと思います。短波ラジオも、一般にAMです。AMやFMは電波型式のことで、AMは振幅変化で、FMは周波数変化で、情報を伝送します。宏観現象としての雑音は、振幅変化成分が多いと考えられますから、AMラジオのほうがよいでしょう。

■ 311の前に、なにがあったのか?
 正確な記録を残していませんが、311の数ヶ月前にAM放送にパチパチ(またはポツポツ)雑音が乗るようになりました。パチパチ雑音は、前出の着火のような感じの単発の衝撃波を不規則に繰り返す感じです。

 私が住む神奈川県川崎市でTBSラジオ(954kHz)は、雑音が無く聞けるほど強力です。しかし、この放送にも雑音が乗る日がありました。またこの雑音は、近所の公園でも同じように受信できました。雑音は、屋内配線からのものではないのです。
 屋外で雑音の到来方向を確認したところ、ラジオのアンテナ指向性から東西方向に思えました。

 当時の私は地震警報器の販売開始を間近に控え、作業を進める傍ら、地震の関係情報を収集しておりました。その中に 「最近、房総半島で地磁気が定まらない場所がある」 というのがありました。そこには複数のコンパス(方位磁石)が互いが干渉しない程度に離して置かれた写真があり、コンパスが示す方位がバラバラなのです。またこの方位は、時々刻々変わるそうです。
 この情報を得ていた私は、「雑音原因は、房総半島の地磁気が定まらないことと関係があるのかな?」 程度に思っていました。当地から見て、雑音の到来方向である東側が房総半島だからです。

 こんなことが数ヶ月も続き、雑音レベルの測定方法を試すなどしているうちに、いつのまにか雑音が消えました。私もこんなことを忘れた頃に、311を迎えたわけです。
 いま思えば雑音は、房総半島ではなく、その更に先の太平洋(311の震源域)だったのかもしれません。しかし海水で電波が大きく減衰することを考えれば、あの雑音が必ずしも宏観現象であったとも言い切れないとも思います。

■ 雷との勘違い
 2015年夏の午後に、急激に雑音が増えた日がありました。屋外でも受信でき、雑音の到来方向は南北方向です。雑音の発生が急激だったので 「ひょっとして雷?」 とインターネットで調べたら、群馬県を広く覆う夕立で、1分間にいくつも落雷がある状況でした。単発の雷は 「バリバリ」 と言う感じですが、発生数がものすごいと 「ザー」 って感じになります。
 夜間のAM放送では電離層反射で遠方の放送が聞こえますが、同じように遠方の雷雑音も入るようになります。
 宏観現象の観察では、雷を勘違いしないようにします。

■ 異常な雑音は、どう測り・利用するか?
 異常な雑音に気づいたら、ラジオを持って屋外へ出てみます。屋内配線からの雑音の可能性を無くすためです。屋外ですから、イヤホンで聞くほうがわかりやすいと思います。
 屋外で同様の雑音を確認したら、ラジオのアンテナ指向性を利用して雑音の到来方向を探ります。このとき、放送の無い周波数で行います。

 異常な雑音が何日も続くようなら、インターネットなどで呼びかけていくつもの地点で測定してもらいます。ひょっとすると雑音の到来方向が、1点に絞れるかもしれません。
 この1点に活断層があるようなら、要注意ということになります。

 大地震では、備えが大切です。異常な雑音に気づいたら、緊急避難袋の点検などのきっかけにしても良いと思います。大地震は、10年に1度程度の頻度で、日本のどこかを襲っています。けっして、他人事ではありません。

 AMラジオは、多くの人が持っています。もしこれが宏観現象の検出手段の一つになるなら、多数の観測点があるのと同じですから、検出確度もあがるのではないでしょうか。

 私は、自身の体験に基づいて以上のとおりに思いますが、他にも私よりも詳しく調べられておられる方が大勢いらっしゃいます。次のワードで検索してみてください:
AMラジオ ノイズ 地震
 これらのご研究からは、異常雑音が消えてしばらくして地震が発生することが多いようです。ですから、異常雑音だからと 「いますぐ大地震が来る!」 ような大騒ぎはしないようにしましょう。

では、また

 

2016年1月23日



 以上の文章は 2016年1月23日 に書いたものです。これを書いたきっかけは、その5日前の18日早朝に同様の雑音を聴いたからでした。当日はやや風が強い中、湿った雪が降っていました。雪が帯電して放電する中で発生する雑音であるかもしれませんが、気になったものです。
 この後日談ですが、雑音から18日後の2月5日以降に連発する感じで、次の地震がありました:
 2月5日 神奈川県東部でM4.6
 2月5日 群馬県南部でM4.0
 2月6日 栃木県南部でM3.9
 2月7日 茨城県北部でM4.3
 2月7日 茨城県南部でM4.6
関東は地震が多いため偶然かもしれませんが、虫の知らせ ということも・・・

では、また

 

2016年2月14日
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