黒鯛工房 サカサ桶のネット補修 備忘録

こちらから,上位インデックスに戻ります。

 黒鯛工房で販売していたサカサ桶(Lサイズ)を包む 「黒鯛工房オリジナルネット」 を補修してみました。補修箇所は、ハトメ、ベルト、ファスナー の3箇所です。作業過程を写真に残していませんが、全て補修が完了しました。また箍(たが)を、ワイヤーブラシで磨くなどしました。ここでは補修の勘所や、日常のメンテナンスについても、書いています。

 購入したのは2005年頃だと思いますので、すでに10年以上が経過しています。箍は銅製で緑青(ろくしょう)が吹いており、同様にハトメも錆びており、ファスナーのスライダー(アルミニウム製の可動部分)も錆びて動きませんでした。
 すでに黒鯛工房では生産を打ち切られた様子で、同様の問題を抱えた方もいらっしゃるだろうと思い、ネット上に書き残すことにしました。

■ 防錆処理
 箍やハトメの金属部分は、防錆処理をします。防錆剤として、商品名 「サビーヌ プラス (有限会社プロケミ)」 200g入りボトル を購入しました。
現時点で、この防錆剤の良し悪しは分かりませんが、補修の時点で使いました。

 この防錆剤の使用方法には、ウエスに染みこませて塗布するように書かれています。私はプラモデル塗装用に使われる金属製の小皿に少量の防錆剤を取り出し、2cm四方に切った小さなウエスを丸めて、ピックアップツールに咥えたもので塗布しました。

■ 桶の洗浄
 木桶は黒ずんでいましたので、水をかけながらタワシでゴシゴシ洗いました。これで、白さが戻ります。

 箍は、ワイヤーブラシで磨きました。箍の銅はあまり厚くないので 「あまり磨き過ぎないほうがよいだろう」 と、緑青が点在している状態で止めました。乾燥させて、前出の防錆剤を塗布します。

■ ハトメの取り外し・取り付け
 ハトメを取り外す前に、ノギスで寸法を測りました。全てのハトメは、内径が5mm程度でした。このハトメは、「No.300」 と呼ばれる規格品のようです。エアポンプの管を通す大型のハトメは、磨いて防錆剤を塗布するだけに留めました。

 錆びたハトメの取り外しは、面取りカッターをピンバイスに咥えて手作業で取り外します。面取りカッターは商品名で、サラモミも出来る90°の角度が付いたリーマーのような工具です。これでゴリゴリと錆びたハトメを削って、取り外します。

 ハトメの購入ですが、No.300の長さが5mmと6mmの2種を使い分けました。底のゴムひもを通す部分とネットの厚手の部分に6mmを、それ以外は5mmを使います。ハトメは、座金付きを使います。表面からハトメを差込み、裏面で座金を差し入れてハトメ打ちをします。
 ハトメ打ち工具には、No.300用のポンチと台座のセットを購入しました。この工具でハトメ打ちをすると、1〜2回の打ち込みではポンチにハトメが固着します。これにかまわず、5〜6回打ち込みます。すると固着がとれて、ハトメも十分に広がります。ハトメはアソビが多いと、次第に生地の穴が広がりハトメが抜けてしまうそうです。 「大は小を兼ねない」 ということを頭に入れて、ハトメを選びましょう。
 話が前後しますが、ハトメを購入したら打ち込む前に、ハトメと座金を防錆剤に浸して乾燥させます。ハトメは真鍮製なので、銅と同様に緑青がでます。

■ ファスナーの取り外し・取り付け
 ファスナーのエレメント(かみ合う歯の部分)はダメージが無かったので 「スライダー交換のみで済まないか?」 と思いました。オカダヤ(手芸専門店)の店員さんに尋ねたところ、ファスナーは様々な種類があり、微妙に寸法が違うそうです。面倒な作業ですがファスナー全体を取り外して、新品のファスナーを縫い付けることにしました。

 オカダヤにネットを持参して、似たような大きさと色のファスナーを買いました。交換するファスナー購入では、ファスナー取り外し前に寸法を比べるためにお店に持って行くのが良いと思います。

 ファスナーの取り外しは、ファスナー部分だけを取り外すために、縫い付けてある糸の目的を読みながら作業を進めます。ネット本体にポケットが縫い付けてある糸が、ファスナーにかかっている場所があれば、ファスナーのテープ(布の部分)をカミソリなどで切断するなどします。

 取り付けは、取り外したファスナーの縫いつけ糸を参考に縫い付けます。ポケットの布をピンと張った状態を保ちながら、時々ファスナーが閉まるかどうかスライダーを動かして確認しながら縫い進みます。

■ ベルトの取り外し・取り付け
 ベルトは、桶の角に当たる部分が、かなり磨り減っていました。ベルトの幅は24mmに読めましたが、元々は25mmだったかもしれません。これは、「長年使っているうちに伸びる方向に力がかかり、ベルトの幅が狭くなった」 という推察です。オカダヤの在庫に24mmは無いため、25mmを2m購入しました。必要な長さは、1.2m程度です。

 ベルトとネット本体との接続は、ベルトの一方がネットに縫い付けてあり、他方は四角いリングを介して別のベルトがネットに縫い付けてあります。縫い付けてある側のベルトは磨り減った部分で切断すると、ベルトが5cm程度残ります。切断面はライターであぶり、ベルトの糸がほつれないようにします。このベルトに新たに四角いリングを通して、折り返してベルト同士を縫い付けます。これでネットのベルト部分は、両方ともリングが付いた状態になります。この四角いリングも、オカダヤで購入しました。

 ここに、購入したベルトを取り付けます。ベルト部分を分解する前に、ベルトの引き回し方を頭に入れます。同じように引き回して、縫い付けて完了です。

■ 日常メンテナンス
 補修の大変さを味わうと、日常メンテナンスにも やる気 が湧きます。ネットは、毎回の釣行後に外して水道水でジャブジャブ洗浄しましょう。これでファスナーやハトメの塩分が抜けます。ハトメは、ときどき防錆剤を塗布しましょう。木桶は、箍が腐食しないように、水道水で塩分を洗い流します。そうして、ときどき防錆剤を塗布しましょう。

 釣り仲間が、「木桶に水を張ってたら、カビだらけになった」 と言っていました。私の木桶はきれいなのですが、「水を張りっぱなし」 がダメなのだろうと思います。私は毎日、木桶に水を入れて、内面を濡らすようにグルグル回して水を捨てています。このように内面が濡れた状態にして、木桶の蓋を閉めておきます。これで水が漏れることも、カビが生えることもありません。長期外出するときは皿に水を張り、それを木桶に入れて蓋をしています。

では、また

 

2017年1月15日
こちらから,上位インデックスに戻ります。

本ホームページの文章・波形データ・図などの無断転載を禁止します。
(C) 勝部雅稔 2016