5月 アイラトビカズラ




この花は、いったい何!?
と思わせる、あやしい雰囲気。

これこそ、熊本県菊鹿町に
日本でただ1本だけ自生する
アイラトビカズラです。

マメ科のつる性常緑木本で
10〜20個の黒紫色の花を
フジと同じように房状に咲かせます。

当初、この植物の正体が
全くわかりませんでした。

昭和37年になってようやく
中国に咲く、常春油麻藤(じょうしゅんゆまとう)
と同じである事が確認されました。

日本でただ1本だけ自生する あやしい雰囲気の花



棚の上部から側面まで、アイラトビカズラのツタがびっしりと絡まっています




樹齢はなんと、推定1000年です。

『昔、源平の戦火で相良寺(あいらじ)
焼き討ちされた時、千手観音がこのカズラに
飛び移り無事だった』 という伝説があり、
これがアイラトビカズラの
名前の由来になったそうです。
   

落ちた花を手にのせました こんなに大きな花です


こちらはヤマフジの花、ちっちゃーい
国の特別天然記念物に指定されている






1000年という長い年月を支えてきた幹
トビカズラは古来、優曇華(うどんげ)と呼ばれ
『開花すれば必ず国家的事変が起こる』といわれ、
満州事変の前年に35年ぶりに開花したそうです。



そんなアイラトビカズラの花の下に
たたずんでいるといると

1000年という長い年月を
よく生きてきたなぁと思うと同時に
日本に“ただ1本だけ”しかないという
不思議な事実に、なにか特別な意味が
あるような気がしてきました・・・。
    




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