井上靖のクランはあんまり好きじゃなかったんですが、こっちは啖呵の切り方がかっこよくてすごく好きです。
「グダグダ言わずに、疑うんならあたしの体を確かめてみればいいんじゃないの。」
なんて、16、7の娘が、親のような歳の(チンギス43歳くらい)権力者に向かってよく言った!

この後彼女は第2夫人の席につき、男の子を産みます。
「蒼き狼」では、捨てられちゃうガウランちゃんですが、歴史上では皇子の名を「コルゲン」といい、ちゃんと財産分けももらって、庶子としては格別の待遇を受けています。
(チンギスのほかの庶子は、名前すら残ってません)

つまりあのくだりは、井上靖の完全な創作らしいです。
モンゴルの戦では、戦闘部隊の後に輜重部隊として戦闘員の家族がゲル担いでついてくるので、戦場に奥さんを連れて行くのは基本なことです。
「だって夜困るじゃん」(by、チンギス)そうですね。

正妻は根拠地にあって、ウルスを経営しているので、その下のクラスの女性を連れて行きます。

最後の西夏攻めのときは、別の妻、イェスイ妃が共をして、チンギスを看取っています。