映画「MONGOL」感想
日記08,4,14

映画「MONGOL」感想です。
ネタバレはしてないと思いますが、長文注意です(笑)

簡単に要約すると、このイラストのような話でした。
いやマジで、これで8割は説明できたような(笑)

評価としては、かなり満足しました!
カ○゛カワなんて一回見たらたくさんだって気分になったけど、あれなら何回か見に行ってもいいや!

はっきり言って歴史モノではありません。
歴史に合致するカケラを拾う方が大変でした。
もっとも、チンギス・カンとして草原部族を統一した第2次即位以前のことは、
秘史にしろ集史にしろ、どの資料引っ張ってきてもフィクションでしかありませんから(爆)、
どうせやるならあれくらいでっかくフィクションぶちかましてくれたほうが、
いっそ爽快感を憶えました。
(「元朝秘史」はモンゴル内部で書かれた叙事詩風の書物、
「集史」はペルシャ方面に居ついた孫のフラグの子孫が国家編纂させた
モンゴル時代までの世界の歴史書で、両方ともチンギス時代のモンゴルの重要資料です。
でもチンギスの若いころのことは、ほとんど判らないままです。)

監督は集史に時間の空白があることを利用して話を練り上げたと言ってましたが、
集史だけに偏らず、上手に秘史と集史を組み合わせてたと思います。
それよりも、コトの流れの理由付けや転がり方が、
ロシア人にはこう見えてるんだなぁと感じることが多かったです。

歴史のスジはめちゃめちゃでも、風俗や文化の描写がやけにリアルなとこがありました。
言葉でお行儀よく整形された民俗学ではなくて、
なんと言うか、あか剥けの文化の生肉みたいなものがときどき塊りでぼんっ と入ってきて、
そうそう、これだよ! と思わせるので、歴史のスジが通ってないなんてことを
吹き飛ばすパワーになっていました。
スジはそれなりに通っているけど文化のカケラもなかったカド○ワが
クソつまんなかったのと好対照だと思います。
(仕方ないけどつい比べてしまいますね)

いやーそれにしても、見た人みんな言ってましたが、奥さんのボルテが最強です。
「つ、つえぇ〜・・・・ι」とおもわず口を開けてたじろいじゃうような最強キャラです。
ワンシーンとかじゃなくて、出ているシーンずっと最強です。
煽り文句の『守るべきは、この愛しきもの』って、
いや、守られてんのは間違いなくあんたの方だよテムジン。
パンフやチラシのあおり文は「闘って生きた」とか「強くあれ・・・」より、
「俺のラブラブかあちゃん世界最強!」にすべきだね!
ツンデレ・・・というか、ザシュビシギリザンッデレって感じ?
でもデレなんですよ。
出会ったとこからずっとひたすらラブラブ夫婦だったもの。
歴史モノじゃないなら何映画かと言われれば、これは恋愛映画なのではないでしょうか。
いや、恋愛なんて甘っちょろい言葉で表現できないくらいの最強愛映画。
今時のチャラい恋愛観なんて、これ一つで吹き飛ぶわ。
何か悩みがある人は見に行ってみると効くんじゃありませんかねえ。
ちっちぇーコトで悩んでるのがバカみたいと思えるんじゃないでしょうか。
そうだ、やろうと思えばここまで人生押し広げられるんじゃんか。
いや、ここまで出来る人はそうはいないけどι 映画の中でさえ恐れられてたし。
(ジャムカに「お前よくあの女と一緒に寝られるな」と言われてたし。
冗談めかして言ってたけど、目が完全にマジだった。
ジャムカはすっごいボルテを恐がってて、文句言いに来てもボルテの一睨みで引き下がったし)
演じた役者さんは(ボルテ役なのに本名クランさんなんだよね)
監督が市井で見初めてきた学生さんで、演技なんてやったことない
初舞台だそうですが、すっごい演技力・・・というか、迫力でした。
目力ってああいうことを言うのでしょうか。

ジャムカはとても常識人でした。
頭もよくて誠実だったし、もうちょっと気前がよければ、
テムジンよりもよほど有能な指導者かと。
何とかテムジンを自分の傍にひきつけておきたいんだけど、
ボルテにかなわずフラれっぱなしてました。
やっぱりジャムカは恋するオトコv

そして浅野忠信テムジン
役としてのテムジンは何やりたいのかよくわからない行き当たりばったりの奴なんですが、
誰よりもボルテが好きってコトだけははっきり判りました(笑ι)
結局テムジンの主張って「ボルテが好きv」でしかないのでは。
「この世界を丸ごとキミに・・・v」か。ベタ甘だ(笑)
しかし役がどうのというよりも、浅野忠信がすごいです。
相変らずの「顔を見れば確かに浅野忠信なのに、
浅野忠信と言われないと浅野忠信と気づかない」っぷりです。
もともと日本人をモンゴル人の中に入れても見分けがつきませんから
(子テムジンの坊や、私の子供の頃にそっくりなんだよ(笑υ))、違和感はまったくありません。
でも本当にベストキャスト。
目も細いし、ハデな顔してるわけではないのですが、
エキストラの兵士たちの間に混ざると、突出して目を引くあでやかさがあるんですよ。
あれもやっぱり目力なんでしょうか。
目といえば、浅野忠信の目って有名なチンギス・カンの肖像画の
「猫のような目」といわれる目とほとんど同じ形です。(想像画ですが)
気がついたとき、「あ、監督が欲しかったのはこれか」と思いました。
主役に言葉もわかんない他所の国の人をポンッと放り込むって、
相当勇気のいることでしょうが、ゆずれなかったんですねぇ。
監督の目の確かさに拍手です。

あとこまごましたところ。
ジャムカのしてる銀のイヤーカフス超カッコイイ。ほしい。
どっかで作って売ってくれないかな。
彫金なんてもう何年もやってないけど、バーナーセッティングしなおして
作ってみようかなと思っちゃうほどかっこいいです。
ほしい。

音楽もロシア人のアーティストの方が作ってるんですよねぇ?
エンディングとか、何の楽器使ってるんでしょう。
最近人気の津軽三味線と洋楽器(サックス?)のコラボみたいでした。
いや、三味線というよりバンジョーかな?
ベンベンベンベンベンッと、オリエンタルチックでスピードがあってかっこよかったです。

パンフレット、写真はいいものが多くて好きだけど、B4サイズじゃ大きすぎて本棚に入りません。
大判本の棚に押し込んでます(笑)


あー、でもほんと、面白い映画でした。
万人に楽しいだろうとはとてもいえませんが、少なくとも、私にとっては十分及第点でした。
公開中にまた見に行こう。
DVDが発売されたら買うので、ちゃんと商品化して欲しいです。


この子達もサイコー♪

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