『青き狼の血族』感想
10.2.1

感想書きました!『蒼き狼の血脈』
イラストの下から感想です。ネタバレ含むので文字を白反転にしました。
選択してお読みください。
これから読む予定の方は、やめといた方が無難かも…
なんならあとでフリートークのページにでも移しますから。

イメージボード描いてみました。こんな感じですかね。
左からバトゥ、アレキサンデル(ネフスキー)、アガフィア、モンケ、ベルケです。
モンケがうちのキャラと違ったのでキャラ立て直してみました。(右側真ん中)
その下はベルケにしちゃったけど、ターヒルの方が良かったのかな。

内容は人によって好き好みがあるものですが、とりあえず
ああいうどの資料調べても具体的データが分からんような人と時代(笑)のことを
よく書いたもんです、それは素直に賛辞を送ろう!

全体的には、佳作って感じですかね。
中身拝見で少し引き気味だったので(それってどうよι)、予想よりずっと楽しめましたが。

しかし、他にはあんまり褒める所はない…かなι

世界で一番広い帝国を舞台にしているはずなのに、ドーム球場の試合を見てる感じでした。
広大な景色や地形を描写しているシーンもあるのに、なぜあんなに箱庭感がするんだろ…
行間から感じる世界感がやたら狭かったです。
広さを表す物差しが、情報伝達の遅さくらいしかないからか?
私のイメージが貧困だからか?ι

そしてなにより、サヨ河の戦いはもっと迫力出してほしかったなぁ!
実際あったバトゥ最大の戦闘で表面上のクライマックスなんだから、
史料通りもっとパーッとさ!

あの資料読んでて「こ、こ、こ、こいつら…||||ιι」とたじろいじゃうような、
小気味良いというかえげつねぇというか、死ぬほど狡猾で抜け目なくてドSな、
ハンガリー軍とベーラたんにごめんなさいと謝りたくなっちゃうような
モンゴル軍の圧倒的な戦いぶりが見たかったじゃん!
オセロやってて一個石置いたらゲーム盤の石が全部ひっくり返ったみたいな、
マジシャンの器用な手がテーブルに置いた一枚のトランプが一気にザーッと開いたみたいな、
衝撃的な鮮やかさと疾走感が見たかったんじゃん!
「これはフィクションです」とうたってる限りは、面白くするためなら
何やったっていいと私は思っているのですが、
面白くなってくれないならフィクション入れる意味ないじゃん・・・
フィクションの小説より資料読んでる方がドキドキしてかっこいいってなァ・・・

そのフィクションの代償がバイバルスなわけですが…う〜ん…う〜ん…
ただ出したかっただけ以上の存在とは読み取れなんだ…
作家の戦闘の描写が下手なのか、私ととソリが合わなくて乗れないのか、
どうせ出したかっただけなら、もうちょっとカッコ良くならんか?

ターヒルもまぁ、ああいう小説に出てくる典型的なタイプだったし。

アレクサンドルは歴史上でもよく解らん人なのにのにちゃんとキャラ立て出来てました。
胡散臭い美形アニメキャラみたいだ!(笑ι)
よく響く低い声はぜひ子安ヴォイスでよろしく!

誰がカッコイイって、結局オゴデイでしたね。
操られてるようで結局ちゃっかり至高の地位について
やりたい事やってった感じがうまく出てました。
でもオゴデイのニコちゃんは芝居じゃありませんよ、地です。
冷酷な謀略家と人好きのするニコちゃんが地で同居してるのが
オゴデイのかっこいいところです。
小説やドラマで、位を継いだんだから出来が良くてかっこよくて当たり前みたいな
オゴデイ像を見ることがあるのですが、私はそういうのがすごく嫌いなのです。
違う、そんなスタンダードで解りやすいカッコよさがオゴデイじゃないのよ。
相反する性格が嘘でも演技でもなく地で融合してる不思議さがオゴデイよ!

実はバトゥ主役でバトゥ主観で物語が語られるのに、
どうもバトゥの印象が際立たなかったように思いました。
かっこよくて有能に書いてある…のか?
どうもそういう印象を持てないのですが…
一本貫く筋が見えないというか…
何やりたいの? どうしたいの?
ちゃんと書いてあるんだけど、心に強烈に姿を思い描けません。

全体的に登場人物たちになかなか感情移入ができませんでした。
この本の登場人物たちはみんな頭良くて策には引っかからないかわりに、
生の感情を見せないので巻き込まれて心の中に入っていけなかったのかも。
好意や悪意に巻き込まれて感情移入するからね、小説は。

アガフィアが最後に刺客に立つのは、自分でもお話に描いたところだったので
「おお!」と思ったんだけど、いいんですかあれで。まぁいいけどさ。
(いくらなんでも暗殺者がそんな簡単にばっくれられるのはどうだと思ったけどι
そんな簡単にタマ取れるならとっくに殺されてるよグユク。
殺したい奴はほかにもいっぱいいたはずなんだし大ハン)
実は最後にバトゥの前に刺客として戻ってくるんじゃないかと期待していました。
ベタですみません。でもさ。
バトゥの前に刺客として立ったアガフィアがバトゥの振るう長剣の前に倒れた時、
剣に滴る赤い血はどんなに美しく輝くだろう…(うっとり…)
国も政治も知ったことか、理由は愛で十分だよ、
女の暗殺の理由なんてどうせ全部それなんだから、
10年間もそば近くでほっぽらかされた恨みをぶつけてやればいい。

なんでしょう年も改まったというのに、好いた男の側近く居て手駒としていいように使われ、
周りからはとっくにそういう仲だと思われてるのに実は指一本触れられずにほっぽらかし…
という女の子に縁があるのでしょうか私はι
こういう関係性は男女の中になるよりずっと深く心裡で丁々発止できるので
かっこいいけれど、たまらんよなぁ女の子の方は、しかも10年も…
てか、男の方が世界を踏みしだく大魔王で、一旦それを基準にしちゃうと
乗り換えようにも連山遥か下方に従え飛び移れないほど孤高の最高峰じゃないと
成立しない関係だけどね。
ツンデレなんて所詮男が頼りなくて女の子にリードしてもらう方便だよなー。
とか、このへん見てると思います。

感想書くのに長いことかかってしまいましたが、だいたいこんな感じで。
書きあげてやっと肩の荷降りた。
これでほかのネタも書ける…何か追われてるなぁ色んなものに。
明日は映画見に行く予定なのでこのへんで。