アフリカの農地土壌が急速に劣化 作物収量維持のために肥料コスト削減が急務

農業情報研究所(WAPIC)

06.4.1

  アフリカの農地土壌が急速に養分を失いつつあり、大陸の75%の農地が著しく劣化している、人口増加で一層の食料が必要になるのに、この傾向が続けば今後15年の間に作物収量が30%も低下するだろう。国際土壌肥沃度農業開発センター(IFDC)が3月30日、このように警告する報告書を発表した。

 http://www.eurekalert.org/africasoil/report/Soil_Nutrient_Mining_in_Africa_Report_Final.pdf

 報告によると、2002年から2004年の間に、アフリカの農地のおよそ85%が年・ヘクタール当たり30kgの養分を失った。アンゴラ、ブルンジ、コンゴ、ギニア、ルワンダ、ウガンダでは、この養分喪失は60kgに達する。原因は、同じ土地に毎年作物を植えるのに、作物が吸収して土地から取り去る養分を補給する肥料が施されないことにある。

 伝統的には、農民は森林を切り払った開墾地で作物を数回収穫すると他の開墾地に移動、その土地を10年から15年休耕地とすることで地力が回復するのを待った。しかし、急速に増加する人口を養うためにそんな余裕はなくなった。毎年同じ土地で作物を作る。

 しかし、アフリカの肥料価格は、世界の他の場所の2倍から6倍にもなる。大部分の農民は肥料を利用できない。アフリカの肥料利用は世界平均より10%少ない。結局、何も育たなくなった土地の表土は風で吹き飛ばされ、雨に洗い流される。

 こうして、アフリカの農地の4分の3は、作物の成長に必須な養分を10年前に比べて40%も失った。アフリカの農地の穀物収量は、既にアジアやラテンアメリカの3分の1にすぎないが、このままでは15年後にはさらに30%ほど低下する恐れがあるという。

 ニューヨークでのこの発表に際し、ナイジェリアのオバサンジョ大統領は、アフリカのリーダーに対してこの問題への挑戦を呼びかけた。6月には、そのための国際サミットを主催する。この会議で肥料コストを切り下げ、またアフリカの肥料製造への投資を促進する方法を探るという。

 Making Fertiliser as Ubiquitous as Coca-Cola,IPS,3.30
 http://www.ipsnews.net/news.asp?idnews=32718

 しかし、肥料価格切り下げのためには、製造コストの引き下げだけでなく、輸送の困難を取り除く道路網の大々的整備も必要になる。販売のための流通網の整備も必要だ。外国からの援助の増加なしには、その実現は難しい。1990年代を通じて減り続けた先進国のアフリカ援助は、最近漸く上向いてきたばかりだ。オバサンジョ大統領は、来るべき10年にアフリカ援助を大幅に増やすという先進国の約束に期待をかけている。