バイエル モンサント買収で合意 世界中の農民に種子と農薬を売るワン・ストップ・ショップに

 

農業情報研究所>農業・農村・食料アグリビジネス・食品産業>ニュース:2016年9月15日

 

独化学・医薬品大手・バイエルが14日、遺伝子組み換え(GM)種子で世界最大手の米モンサント買収で合意したと発表した。

 

独バイエル、米モンサントの買収で合意 遺伝子組み換え種子の最大手 東京新聞 16.9.15

 

バイエルのモンサント買収提案は今年5月ごろから報じられておりBayer explores $40bn bid for Monsanto,FT.com,16.5.12、唐突なはなしではない。製薬部門の研究開発費の膨張(バイエル)やトウモロコシ価格下落・エタノール産業低迷などから来る農作物・農薬(作物保護)部門の不振に悩む両者が、種子部門と作物保護部門の合体によって苦境を脱しようとしたものであろう。

 

この買収について、フィナシャル・タイムズ紙は次のように伝えている。

 

Bayer targets one-stop shop with Monsanto,FT.com,16.9.15

 

モンサントのヒュー・グラントCEOは、彼の会社のバイエルとのタイ・アップは最高のカップルの誕生だ、モンサントは種子を生産する、バイエルは農薬を作る、「これら二つの部門を合体させることで、異次元の新製品と革新への道が開かれる」と言う。バイエルのヴェルナーバウマンCEOも、製品や活動地域で補完的な両者の合体による成長と革新を強調する。

 

この買収を推進した論理は単純だ。合併したバイエル-モンサントは、世界中の農民に種子と農薬とアドバイスを売るワン・ストップ・ショップになる、拡大した企業は、農産物収量を改善、人類が直面する「差し迫った難題」の一つ―2050年までに30億も増えると予想される世界人口をどう養うか―を解決する助けになるのだという。

 

そして、このような“ワン・ストップ・ショップ”の論理はバイエルのモンサント買収劇を生んだだけではない。ダウ・ケミカルは昨年12月、デュポンの買収で合意した。中國化工集団公司(ChemChina)は2月、シンジェンタの買収を提案した。これらすべての企業を合体に駆り立てたのも、種子と化学製品(農薬)をパッケージで販売する能力の獲得だという。

 

 しかし、このような合併によって誕生する三つの巨大アグリビジネス企業による世界市場支配は、これら企業が言うように、本当に農民と消費者の利益になるのだろうか。フィナンシャルタイムズ紙によれば、ビッグ・プレイヤーによるアグリビジネス市場支配は、農民に対して価格を引き上げ、その結果として消費者の食料費を引き上げる可能性もある。EUでも米国でも、独禁当局による審査が始まるだろうが、シティのアナリストは、「今我々が見ているのは産業全体にまたがる急速な合併劇だ。事は世界の食料供給がほんの数社の手に握られていいのかどうかにかかわる。政治家と独禁当局による厳重な審査に服さねばならない」と言っている。

 

 なお、これらの合併がもたらす種子・農薬の各社世界市場シェアは下図のとおりである(Bayer targets one-stop shop with Monsanto,FT.com,16.9.15による)