バイオ燃料農業が燐の消尽を早める 燐なしでは農業もバイオ燃料もないとブラジル専門家

農業情報研究所(WAPIC)

07.11.13

  近年の世界的バイオ燃料ブームは、食料生産用の土地資源や水資源の枯渇につながるという資源面からの批判を浴びてきた。ところが、ブラジルの土壌専門家は、今や作物肥料として不可欠な燐の消尽という、今まで光が当てられることのなかった新たな側面から、バイオ燃料の主導権を競うブラジルやその他多くの国の貪欲なバイオ燃料増産計画が農業の終焉にまでつながることを恐れているという。

 インター・プレス・サービス(IPS)の今年10月10日付の報道によると、前月、サンパウロで開かれたバイオエネルギー会議で、ラブラス連邦大学のJosé Oswaldo Siqueira土壌微生物学教授は、「燐は石油よりも前に使い尽くされてしまう危険性がある」と警告した。

 彼によると、バイオエネルギーのための農業の大拡張は、燐の消尽を加速する。これは、この部門のいかなる”戦略的ビジョン”においても考慮されるべき事実だ。バイオ燃料―サトウキビ、トウモロコシ、その他の作物かから作られるエタノールやバイオディーゼル―を”再生可能”と分類することで、土壌や鉱物栄養素などの農業生産の一定の要素が無限に供給されるわけではないという事実に目を瞑らせてはならないと言う。

 サンパウロ大学のEuripedes Malavolta教授は、燐は”有限にして、代わるものがない”鉱物で、現在の消費ペースが続けば、経済的に採掘可能な埋蔵資源が60年から100年の間に尽き果ててしまうと分かっている、「燐なしでは、農業もなければ、バイオ燃料もなく、生命もない。人類も終わるだろう」と言う。

 DEVELOPMENT: Farming Faces Phosphate Shortfall,IPS,10.20

 バイオ燃料産業が農業と人類の将来に対して持つべき責任は、途方もなく重い。