農業による大気汚染防止、カリフォルニア州がサンホアキン・バレーで初の基準遵守を強制

農業情報研究所(WAPIC)

04.7.05

 AP通信の報道によると(Farm Counties Brace for Air Quality Rules,AP,7.1、カリフォルニアサンホアキン・バレーの農業者と酪農事業者が1日から、国で初めて州大気汚染基準の遵守を強制されることになる。汚染物質排出規制は、農業には例外的に適用されてこなかった。しかし、今後、8郡にまたがるサンホアキン・バレー大気汚染抑制区域で、推定1,350の農業者と酪農事業者が規制に服することになるという。

 当局によると、農業者と酪農事業者は、地域のスモッグを形成する排出物の26%、サンホアキン・バレーを全国最高の喘息の発生地域にしている粉塵その他の微粒子の51%を排出している。新規制の下では、スモッグを形成するガスを年に12.5トン以上生産する農業者と酪農事業者は、1日までに地方大気質許可を申請、年々数百ドルの料金を払わねばならない。

 最大の汚染源は、灌漑ポンプのジーゼル・エンジンで、地区の新たなプログラムには、旧型エンジンの更新や電動機への交換を促す財政的刺激が含まれる。もう一つの汚染源は、最近バレーに進出、カリフォルニアをウィスコンシンを凌ぐ酪農州に仕立て上げようとしている数百の酪農事業が生産するアンモニアである。酪農事業者は5月に適用免除を求めて提訴したが、敗訴したという。大規模酪農者のコストは500万ドルも上がると見られている。

 米国農業がこれほどまでに環境を汚染する性質のものとなっているのかと改めて驚き、同時にその低コスト化が巨額の環境コストを無視することで実現しているのだと知られる。