オーストラリア フリーレンジ卵改めパスチャード卵 1㌶1万羽の基準決定で放し飼い卵生産者

 

農業情報研究所農業・農村・食料動物福祉ニュース:16年9月9日

 

 オーストラリアの州及び特別地域政府が、鶏が「アウトドアにアクセス」できる場所で飼育され・かつそのアウトドアにおける鶏の密度が1㌶当たり1万羽(1羽1㎡)以下の場合に、卵を「フリーレンジエッグ」(放し飼いの鶏の卵)と表示できると決めた。既に1㌶1500羽の自主基準を設け、実施してきた小規模生産者からすると、信じられない寛大な基準だ(草に覆われたアウトドアの鶏密度が1㌶当たり2500羽以下とするEUの基準と比べても)。

 

 これは大規模生産者が「フリーレンジ」の表示を使用する権利を勝ち取るために奮闘した結果だ。小規模生産者は、当局はフリーレンジという言葉は我々よりもスーパーマーケットにふさわしいと決め、その厳正な意味を破壊してしまったと憤る。いまや彼らのタイプの養鶏の別の呼び方を考えざるを得ない、移動鶏小屋で鶏を運び・草地に放って育てる生産者は、大規模工場養鶏の卵と区別するために、その卵を"pastured eggs"(草地で飼育された鶏の卵)と表示しているという。

 

 

 

 他方、1㌶3万羽を飼う大規模生産者は、もし別の決定がなされたら、消費者はフリーレンジエッグを買うために毎日大枚をはたくことになっただろう、現在のフリーレンジエッグの不足は、基準がないために産業が直面する不確かさのためだとうそぶく。彼の鶏は外に出られるが草地はすぐに裸地になってしまい、大部分の鶏は、鷹、キツネなどの捕食者から離れた温度管理された小屋にいるのだそうである。

 

 Pastured egg producers angry over coming changes to 'free range' definition,ABC Rural News,16.9.9

 

 ところで、わが国のスーパーで売られている卵のうちのどれほどがフリーレンジエッグ、バタリーケージエッグなのだろうか。そんなことを気にする消費者がどれほどいるのだろうか。家畜福祉に関しては世界から隔絶された国である。動物福祉と言えば、犬や猫の虐待はやめましょうと言う程度だ。そのうち、福祉基準に達しない動物産品の輸出に支障をきたすこともあるだろう。例えば現在交渉中のEU-米国貿易投資協定(TTIP)においても、ドイツ連邦食料農業省(BMEL)は、「農業部門の競争力の状況と、欧州の生産がヨーロッパの動物福祉の原則に沿わねばならないという事実を考慮せねばならない」*と言っている。家畜福祉への関心を多少なりとも深めてもらえればと、こんな記事を紹介した。

 

 *Free trade agreements of the European Union,BMEL,16.8.31

  http://www.bmel.de/EN/Agriculture/Market-Trade-Export/_Texte/BilateraleFreihandelsabkommen.html