農業情報研究所


中国:合理化求める中国酪農産業

農業情報研究所(WAPIC)

02.5.8

 今年ある日の早朝、南京郊外の集乳所で40人余りの農民が牛乳を魚の池に棄てている。その内の一人は、13頭の牛が毎日225sの牛乳を出すが、その半分も購入してもらえない、棄てるほかの術がないという。

 香港の「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が過剰生産に苦しむ中国牛乳産業の姿をこのような出だしで伝えている。

 これは多くの中国産業、特に消費財産業と同様な話である。ビジネス機会を求める企業が消費増加を見込んで大量の投資をし、過剰能力、価格低下、利潤低下につながっている。四川では牛乳生産は1年で30%増加し、南京では乳牛頭数は1年で2万頭増加した。しかし、需要は生産増加ほど早く増えない。

 安価な粉乳の輸入が問題を一層悪化させる。中国国内でも、スイスのネスレ、イタリアのパルマラート、日本の森永など外国大企業が生産している。

 産業関係者は、企業の数を減らし、外国企業と競争できる大規模生産者を作り出すような合理化を求めている。産業は、農民や製造業者が市場変動に対する保険を購入することを可能にする財政手段も必要としている。

 Milk glut has dairy industry crying out for rationalisation ,scmp.com,5.6

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