インド沿岸部、津波で農地に塩害 水稲作付、4年は無理

農業情報研究所(WAPIC)

05.1.11

 インド紙の報道によると、海水浸透による農地被害がスマトラ沖地震に伴う津波の農業被害を一層大きなものにすると予想される。インド被災地域における調査が明らかにした(Scientists estimate deep damage to soil in Cuddalore,The Press Trust of India,1.9)。

 調査の対象となったのは津波に襲われたタミール・ナドゥ州南部沿岸57kmに広がる45の村で、この地区の津波による死亡者は600人にのぼり、およそ670fの農地が破壊されたという。地区農業官であるK Ilango博士の発案で、これらの村の100地点から採取された91の土壌、14の水のサンプルが分析された。海水は土壌の90cmの深さまで浸透、塩分濃度を知るために行ったペーハーの測定では6.89.10、電気伝導度は通常の10倍に達した。博士によると、真水よる洗浄と石膏処理による完全な回復に4年はかかる。

 博士等は、長期にわたる回復過程に必要な資金を州政府から引き出すために、被害の全容を把握し、必要資金を推計するための調査を拡充する。農民に対しては、玉葱や水稲などの既存作物は4年間は無理、塩害に比較的強いカシューナッツなどの作付を勧めるという。

 このような形での農業被害は、恐らく他の国、地域にも広がっているだろう。被災地域全体の調査が必要だ。