中国政府 食料価格高騰で最低賃金引き上げを命令

農業情報研究所(WAPIC)

07.5.29

  新華網によると、食料価格が高騰による生活水準の低下を抑えるために、中国政府が地方政府に対して最低賃金引き上げを命じたということだ。地方政府は、最低賃金が伸び悩んでいるか、平均よりも顕著に低い地域では、年末までに最低賃金を引き上げねばならない。国中の地方労働当局が、地方の経済条件、平均賃金、消費者価格、雇用率に応じて、月あたり、及び時間あたりの最低賃金を調整する計画をタイムリーに提出することを義務づけられる。

 食料価格上昇のために、今年初めに比べての5月のインフレ率は、政府の警告レベル・3%を超える3.4%に達した。今年5月の穀物価格は昨年同期に比べて5.9%高い。同じく、肉・鶏肉価格は26.5%、卵価格は37.1%の上昇という。労働社会保障部によると、これが低所得世帯に大きな影響を及ぼしている。

 中国の最低賃金は地域ごとに大きく異なる。昨年末の時点では、最高は深圳市の月810元(105米ドル)、最低は江西省の月270元だ。最も生活費がかかる上海は、昨年、月60元から750元に引き上げたという。

 China's local governments told to raise minimum wages as food prices rise,xinhua,6.28

 食料価格高騰の背景には、飼料として重要なトウモロコシがバイオ燃料生産のために大量に使われるようになったことがある(参照 )。バイオ燃料ブームは中国の労働経済にも影響を及ぼし始めた。