中国政府 大豆等増産に本腰 面積拡大・単収増加・改良品種普及促進措置

農業情報研究所(WAPIC)

07.9.24

  中国農業部が24日、油料作物栽培面積を拡大し、単位面積あたり収量を増加させ、改良品種の普及を進めることで油料作物生産をの増大を図る11の措置を発表した。

 13億元(1億7300万j)の追加補助金で改良品種普及を図る。そのうち3億元が大豆に当てられる。生油料作物産基地の建設への投資も増やし、その栽培のための保険制度も確立し、加工の工業化も促進する。さらに、大豆研究センター建設や新品種普及のための補助金も増やす。

 これらの措置の実施により、2010年までに生産を14%増やすという目標を達成するという。

 http://www.agri.gov.cn/xxlb/t20070924_894452.htm

 食生活の変化に伴う油の消費の増大で、中国人の油料作物消費は驚異的に伸びを示してきた。その中心をなすのが大豆である。1990年の油料作物からの一人一日あたりカロリー摂取量は173キロカロリー(kcal)だったが、2005年には372kcalと2倍以上に増えた。中でも大豆からのカロリー摂取量は42kcalから183kcalへと4倍以上に増えた。大豆からのカロリー摂取量の世界平均は1990年に60kcal、2005年には97kcalだから、この間の中国の摂取量は世界平均を大きく下回るレベルから、世界平均の2倍近いレベルまで増えたことになる。世界最大の消費国・米国の摂取量は、この間に329kcalから258kcalに大きく減った (FAOSDTAT)。

 こうして、世界最大の人口を誇る中国は、この間に第二位の米国を大きく引き離す世界第一の大豆消費国となった。2005年、世界の食料用大豆消費量(1億4000万トン)の40%近く(5400万トン)を中国一国で消費する。  それにもかかわらず、中国の大豆国内生産は低迷したままだ。広大な土地を利用する南米や遺伝子組み換え(GM)品種など最先端技術を駆使した米国などからの安価な輸入品には太刀打ちできないからだ。増加する消費は、専ら輸入で賄われた。2005年、剤大豆の世界総輸入量・6545万トンの43%(2800万トン)までを中国一国が飲み込むことになった。

 

  しかし、米国の大豆生産は、トウモロコシや小麦との競合で今後の大きな伸びは期待できない。南米での拡大も、森林破壊等環境問題からの制約から今が限界だろう。近年のブラジル大豆生産の大きな脅威となってきたアジアサビ病も米国全土に侵入しつつある。これも拡大にブレーキをかける。他方、いずれは中国を凌ぐ人口大国となるインドの大豆消費も増加を続け、世界第3位の消費国に躍り出た。需要はどこまで増えるか分からない。大豆国際価格は天井しらずの高騰を始めた(主要穀物と大豆の国際価格の推移)。中国を養うのは中国自身でしかなくなる。大豆増産は政府の緊急課題となったということであろう。