豪NSW州 昨年以上の大凶作 農業者は風力発電や炭素排出権取引で生き残る

農業情報研究所(WAPIC)

07.10.29

  オーストラリアの穀物主産地の一つをなすニュー・サウス・ウエールズ(NSW)州の一次産業省が26日、2007-08年の州穀物収穫量は、9月半ばの予測の467万トンをさらに大きく下回る280万トンにまで落ち込むという最新穀物収穫量予測を発表した。

 6月のオーストラリア農業・資源経済局(ABARE)の予想収穫量:1144万トンの4分の1にも届かない。昨年はその前3年間の平均:1072万トンを70%以上下回る306万トンしか獲れなかった。1994-95年(147万トン)以来の大凶作だ。今季はそれをさらに下回る2年続きの大凶作となりそうだ。

 理由は言わずと知れた干ばつ、9月、10月の間、有効な雨はまったくなかった。

 Farmers brace for decade-low wheat harvest,smh,10.27

 この報道によると、州自然資源コミッショナーは、多くのNSW農業者の収入のうち、伝統的農業からのものは10年以内に半分を占めるにすぎなくなる、残りは炭素クレジット、グリーン発電などからの収入になろうと言う。農業者は、[地球温暖化のお陰で]食料や繊維の生産によってではなく、風力発電所の受け入れや自然植生への炭素固定、湿地保全に対する発電所、製造業企業、水企業から の支払で存続することになる。

 自由貿易協定(FTA)推進論者は、それでも日豪経済連携協定が食料安定確保に寄与すると言い続けるのだろうか。