タイ首相 メコン流域国で価格カルテル=米輸出国機構(OREC)を創設

農業情報研究所(WAPIC)

08.5.1

  米価格が暴騰するなか、タイのサマック・スントラウェート首相が4月30日、メコン流域国の米価格カルテル創設でミャンマー、ラオス、べトナム、カンボジアと基本的に合意したと発表した。これら5ヵ国で、米輸出国機構(OREC)と呼ばれることになるであろう石油輸出国機構(OPEC)に似たカルテルを作る。

 首相はタイを公式訪問中のミャンマー国家元首・タン・シュエ上級大将との会談で、「価格を安定させるために、ベトナム、ラオス、カンボジアを含む米輸出国カルテルに加わるように招請した」。タン・シュエ上級大将は、国は今のところ米の大輸出国ではないけれども、参加に合意したという。

 首相が報道員に語ったところでは、タイは技術支援でミャンマーの輸出向け生産の改善を助ける。また、ベトナム、ラオス、カンボジアも参加に合意している。そして、ノパドン・パタマ外相は、ORECはすぐにも会合を開くだろうと語った。

 ベトナムとインドの米輸出規制で、タイ米への国際的需要が急増してきた。しかし、今、タイの米輸出業者は海外販売の減速を恐れている。今年3倍にも跳ね上がった価格が何週間かの間には落ち着くだろうと輸入国が期待しているからだ。

 国際米価格の指標となるタイ100%Bグレード白米の価格は、1月のトン当たり383ドルから先週は1000ドル以上に跳ね上がった。しかし、来週、5月5日のフィリピンの入札を前にバイヤーが購入を控え、30日には1000ドルを割った。フィリピンがどれほどの価格を提示するかが今後の市場の方向を決めるだろうという。

 PM floats idea of five-nation rice cartel,Bangkok Post,5.1
 http://www.bangkokpost.com/News/01May2008_news07.php
 Mekong nations agree to form rice cartel,Business Times,5.1
 http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/Thursday/Corporate/dricef.xml/Article/

  ORECが簡単にできるとは思わないが、もしできれば生産国が思うように生産量と価格が決定されることになる。 悪徳業者による価格吊り上げはけしからんが、国がやる分には一向に構わないということなのだろうか。消費国(輸入国)は連帯して対抗 せねばならないが、生産国の連帯以上に難しいだろう。