中国 2020年の穀物生産高を5億4000万トンに 穀物自給率95%を確保の計画

農業情報研究所(WAPIC)

08.7.3

  中国国務院が2日、今後12年間にわたる穀物自給率を95%に確保する計画を承認した。また、2010年までの穀物生産高が5億トンを超え、2020年までには5億4000万トンに達するように保証する計画にも合意した。

 温家宝総理の主宰する会合では、工業化と都市化が需要を押し上げる一方で、土地と水の不足や気候変動が生産を傷つけるから、これは農民にとって恐るべき難事だという意見を聴取した。その上でのこの決定だという。

 会合では、目標達成には最低1億2000万fの耕地を確保せねばならない、また農業基盤・水施設が改善されねばならないとされた。そして、農民所得を増やすに穀物生産補助金を年々増やすともされたが、詳細は決まっていない。

 他方、主要穀物生産省である吉林省が5年間で穀物生産高を500万トン増やすのを助ける計画も承認した。

 中国は去年、5億150万トンの穀物を生産したが、総需要に1500万トン足りない。ただ、総理は、世界価格高騰を和らげるための4000万トンから5000万トンの米を備蓄していると語ったという[真偽のほどはまったく分からない]。

 Grain output to reach 540 bln kgs,xinhua,7.2
 http://news.xinhuanet.com/english/2008-07/02/content_8478487.htm

  この決定を受け、吉林省は早速この5ヵ年計画を発足させた。もし成功すれば、河 南 省、山 東 省、江 蘇 省、黒龍江省に次ぐ中国第五の穀物生産省になるという。

 この計画には、およそ260億元(37億2000万米ドル)の費用がかかり、水路変更、中部・西部地域の灌漑面積の拡張、一層の機械化、改良品種や先進農業技術の普及のプロジェクトが含まれる。資金は政府の特別給付や補助金、銀行ローン、省の基金などで賄う。そして、専ら増産を目指すのではなく、経済・社会発展、環境保護・保全を含む多面的アプローチを取るとういうことだ。

 計画の下で、吉林省は20万fの耕地を追加し、低・中位収量の133万fの農地の収量を引き上げ、200万fの高収量農地の改良を図る。吉林には533万fの農地があり、年に2500万トンの穀物を生産する能力を持つ。松遼盆地の奥深くに位置し、肥沃な農地を持つ。世界でトップ3のトウモロコシ生産ベルトという。

 Jilin launches plan to boost grain output,xinhua.7.3
 http://news.xinhuanet.com/english/2008-07/03/content_8483283.htm