フィリピン 肥料価格高騰でトウモロコシ生産増加が減速へ

農業情報研究所(WAPIC)

08.7.30

 肥料価格高騰でフィリピンのトウモロコシ生産の増加速度が鈍りそうだ。農業省によると、今年第一半期のトウモロコシ生産は329万トン、目標の322万トンをわずかに上回った。しかし、肥料コストの上昇で第二半期の作付面積は減少、165万fの政府目標は達成できそうにない。大部分の農家が作付をためらい、25%から40%の農地が遊ぶことになりそうだ。

Fertilizer cost may hurt H2 corn output,Business World,7.30
http://www.bworldonline.com/BW073008/content.php?id=051

 石油価格の上昇と土壌養分需要の増大が肥料価格を吊り上げてきた。Philippine Maize Federation Inc. (Philmaize)グループのナバロ会長によると、トウモロコシ生産コストは、今や国内市場におけるトウモロコシの平均販売価格:11ペソ/kgを僅かに下回るだけの10ペソ/kgほどと推定される。彼は、低いトウモロコシ販売価格が農民の作付意欲を挫き、作付を決意した農民も肥料投入を減らし、収量が減ることになると言う。

 国は第二半期のトウモロコシ生産目標を416万トンと定めており、今年の生産量は、作付面積が110万fだった第一半期と合わせて738万トンとなり、昨年を9.5%上回るはずだった。

 しかし、作付面積が目標を10%下回ると、収穫量は391万トン、目標面積を30%下回る最悪のケースでは366万トンしか生産できない。それでも674万トンの昨年の総生産量は上回るが、クリスマス休暇に向かう第四四半期の畜産・養鶏産業の生産急増に支障が出る恐れがある。 

 この問題の解決には、国家食料機関(NFA)のトウモロコシ支持価格引き上げで農民の作付を刺激するしかない。先のPhilmaize社は国の買い上げ価格を7ペソ/kgから13ペソ/kgに引き上げるように政府に要求したが、この要求は未だ審査中という。