インド植物油企業 南米など海外での油料種子・豆類の大規模生産を計画

農業情報研究所(WAPIC)

08.9.3

 利用可能な国内農地が減りつつあるインドの植物油トップ企業が、油料種子やヒラマメ(扁豆)を生産するために、パラグアイ、ウルグアイ、ミャンマーで土地を借りるか、購入することを計画している。

 食料農産物の世界価格が高騰するなか、農地や水の不足で十分な国内食料生産ができない国が海外に農地を求める動きが広がっているが(FAO事務局長が食料”新植民地主義”に警告,08.8.25)、この動きがインドにまで波及してきたということらしい。

 ロイター通信がニューデリーから伝えるところによると、中国に次ぐ世界第二の植物油輸入国のインドは[米農務省によると、06/07年の輸入量は中国が850万トン、インドが553万トン―農業情報研究所]、最近の国際価格高騰でピンチに陥った。政策メーカーは気候変動で利用可能な農地が更に減ることを恐れている。

 インド搾油業者協会のAshok Sethia会長は、「大豆、ヒマワリ、豆類を栽培するための広大な土地を購入するためにパラグアイ・ウルグアイ・ミャンマーの政府と交渉する植物油企業14社の連合体を作った」と語ったという。

 India looks abroad for land to grow oilseeds,Business Times,9.3
 http://www.btimes.com.my/Current_News/BTIMES/Wednesday/Corporate/yeedsf.xml/Article/

 この報道によると、アナリストは、工場や不動産開発業者が農地を買い上げる一方、農業生産は貧弱な灌漑施設によって頭を抑えられていると言う。

 06年には高温で小麦生産が減り、2年間に700万トンの高値での輸入を余儀なくされた。インドは1800万トンのヒラマメを消費し、およそ400万トンの蛋白源食料不足を補うためにミャンマー、タンザニア、オーストラリア、カナダ、ウクライナから輸入している。消費する1100万トンの食用油のおよそ半分も輸入し、マレーシアとインドネシアからはパームオイルを、ブラジルとアルゼンチンからは大豆油を買っている。また、いくつかの輸入業者は、既にインドネシアでオイルパーム(油椰子)プランテーションを購入している。

 Sethia会長は、海外での米や小麦の栽培は実現できそうもないが、油料種子やヒラマメなら実行可能だと言う。

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