カンボジアNGOが世界フードレスデー 米生産力増強の必要性を強調

農業情報研究所(WAPIC)

08.10.22

 カンボジアにおける持続可能な農業の開発と農村開発を目指すNGO・カンボジア農業研究開発センター(CEDAC)とその他のNGOが、国連世界フードデーの10月16日、食料危機の根本的原因について国民を目覚めさせるべく、”世界フードレスデー”を開いた。

 CEDACのYang Saing Koma会長がそこで明らかにした2000以上の村の最近の調査結果によると、60%近くの稲作農家が米の自給ができないでいる。30%は少なくとも毎年3ヵ月間は米を買わねばならず、15%は6ヵ月以上も米を買わねばならない。これを実際の数字に直すと、カンボジアの180万の稲作農家のうち、100万近くが毎年米不足を経験していることになる。しかも、大部分は、最近の商品価格高騰を埋め合わせるのに必要な追加所得が得られない。

 米の生産力が足りないことと農村住民の貧困がカンボジアの食料危機の原因ということだ。

 会長は、「都市住民は所得を農業に依存していないから、影響を重大と感じていない」と言う。さらに、気候変動と貧弱な灌漑がカンボジアの食料安全保障に対する一層の脅威となっている。「いくつかの県では、雨不足のために村人が耕作できなかった」、「これが続き、十分な灌漑システムを欠いたままだと、今年は深刻な食料危機に直面することになろう」と言う。

 農林水産省によると、カンボジア農民は今年、政府計画の223万7400fを超える224万1113fで米を作った。しかし、灌漑されている土地は30万fにとどまるという。

 Too many hungry farmers: NGO,Phnom Penh Post,10.20
 http://www.phnompenhpost.com/index.php/2008102022208/National-news/Too-many-hungry-farmers-NGO.html

 SEDACと”農民と自然ネット”(FNN)は世界フードレスデーに向け、政府と関係者に向けて次のことを要請する声明を発している。対途上国農業開発協力のあり方への反省も迫る。

 http://www.cedac.org.kh/statement.pdf

 −稲強化農法(SRI)(→カンボジア 小農の稲強化農法が大成功 それでも理想は米国流メガファームと一流農学者,08.10.15)普及の支援と拡大、及びこれについてすべての農民が学び、これを実施できるように、これに関する情報をすべての村、共同体、地区に伝えること、

 −ローカルなコミュニティ内でローカルな種子を生産し、保存する農民の能力の増強。

 −国全体での自然肥料の生産と使用を奨励すること。

 −灌漑システム開発への投資の強化と拡大。これは、とくに小・中規模のプロジェクトに重点を置く。灌漑事業とその維持をめぐるコミュニティの能力の強化に注意が払われねばならない。

 −コミュニティの米備蓄能力を増強するための農民協同組合への低利融資の提供。(ベトナムに販売する農民などからの備蓄米購入を助ける)

 −農業教育の農村教育プログラムへの繰り込み。これにより、農業に関心を持つ生徒に農業を学び、就農を計画する機会を与える。 

 −農民が輸入品に対抗し、公正な価格で生産物を販売するのを助ける地方市場の開発。

 −農業や産業・農業開発に使用するための国有地等の譲与における貧しい農民の優先。

 −稲作農地を売り払わないように、農民や地方当局の意識を高めること。