マレーシアとインドネシア 価格急落でパームオイル減産へ

農業情報研究所(WAPIC)

08.11.10

 世界のパームオイルの85%を生産するマレーシアとインネシアが、価格の急落を防ぐために生産を削減することに合意した。マレーシアが25万f、インドネシアが5万f、合計30万fのオイルパームの古い樹を切り倒し、新しい苗に植え替える。植え替え地での生産は、4年後に新しい樹による生産が始まるまで凍結する。

 世界経済減速で来年はあらゆる部門における需要の減少が予想される。植え替えで供給過剰を回避するのが狙いだ。これにより、来年の生産はマレーシアで50万トン、インドネシアで7万5000トン減る見込みという。

 ただし、インドネシア農業省のプランテーション部長によると、EUとインドネシアがバイオ燃料利用を義務付けているから、数年のうちに需要は回復する。従って、植え替えは、あくまでも短期的解決策だという。

  同時に、植え替えには多大な費用もかかる。植え替えを希望する農家は利子補填を受けられるが、銀行融資が干上がりつつあるなか、大企業はともかく、農家には難しいともいう。

 RI, Malaysia cut CPO production ,Jakarta Post,11.8
 http://old.thejakartapost.com/yesterdaydetail.asp?fileid=20081108.L01

 なお、バイオ燃料用需要の増加の見込みからパームオイルブームが起きたタイでも価格下落は深刻な問題となっている。3月以来64%も下がった価格を立て直すために、商務省は少なくとも33億バーツ(約90億円)と投じて15万トンを買い上げることを提案した。ただし、これは政府により拒否された。政府は、タイ国営石油会社(PTT Plc)に対し、キロ当たり22.50バーツで圧搾工場から買い上げるように説得する計画という。

 Palm oil price support plan rejected,Bangkok Post,11.8
 http://www.bangkokpost.com/081108_Business/08Nov2008_biz33.php

 いずれにせよ、森林や泥炭地の破壊に歯止めがかかるとは期待できそうにない。